上級食品表示診断士のヤマケンです。
話題の商品や僕のお気に入り商品を、食品表示の分析を交えてレビューしていく企画です。
今回は(株)良品計画さんの「無印良品 素材を活かしたカレー バターチキン」の食品表示を見ていきたいと思います。
※筆者および本サイトは、商品のメーカーとは一切関係がありません。最新の情報は、実物の表示やメーカー公式サイト等をご確認ください。
無印良品バターチキンカレーの栄養成分表示
栄養成分表示 | 単位 | 1袋180g当たり | 100g当たり |
---|---|---|---|
エネルギー | kcal | 260 | 144.44 |
たんぱく質 | g | 14.0 | 7.78 |
脂質 | g | 16.4 | 9.11 |
炭水化物 | g | 14.2 | 7.89 |
食塩相当量 | g | 2.1 | 1.17 |
実際の表示 | 当サイト計算 |
無印良品バターチキンカレーの栄養成分表示は、1袋180g当たりの単位で表示されていて、カロリーは260kcalでした。
他の商品と比べる場合には100g当たりの数値で見るのが便利だと思いますので、計算したものを表に載せてあります。目安にしていただければと思います。
無印良品バターチキンカレーの原材料と添加物
無印良品バターチキンカレーの原材料表示
原材料名 | 蒸し鶏肉(タイ製造)、トマトペースト、炒めたまね ぎ、ギー(バターオイル)、クリーム(乳製品)、カシューナッツペースト、トマト ピューレー、トマトケチャップ、砂糖、なたね油、チキンエキス、食塩、パプリカ、 小麦粉、おろししょうが、でん粉、コリアンダー、にんにく、クミン、ターメリック、 カルダモン、シナモン、黒コショウ、カスリメティ、フェンネル、クローブ、メース、 ローレル、(一部に小麦・乳成分・カシューナッツ・鶏肉を含む) |
原材料名欄の、最後の(一部に小麦・乳成分・カシューナッツ・鶏肉を含む)の前までが原材料です。
※(一部に~)の部分は、アレルギーに関する表示です。
原材料は、使用量の多い順に並べる決まりになっていますので、最も多く使われている原材料は蒸し鶏肉だと分かります。
トマトについては、ペーストにピューレー、ケチャップと、異なる形態の原材料を組み合わせることで深みのある味わいを作り出していると思われます。
バターチキンカレーの「バター」の部分は、通常のバターではなく、「ギー」と呼ばれるインドの伝統的なバターオイルが使われています。
無印良品バターチキンカレーは、「コリアンダー、にんにく、クミン、ターメリック、
カルダモン…」と、スパイスが列挙されています。
実は、これらの合計重量が原材料の2%以下であれば、「香辛料」または「混合香辛料」と簡単にまとめて表示することもできます。(食品表示基準 第3条)
それにも関わらず、スパイスを列挙している理由としては
・スパイスの合計重量が原材料の2%を超える
・列挙した方が良いと判断し、あえて表示している
このいずれか、もしくはその両方だと考えられます。
無印良品さんの他のカレー、例えばプラウンマサラ(海老のクリーミーカレー)の原材料表示では「香辛料」の記載になっていましたので、バターチキンカレーは2%超え、プラウンマサラは2%以下なのかもしれません。
とはいえ、消費者の方に本格的なインドカレーだと思ってもらうには、列挙した方がプラスになるような気もしますね。
一般的に、メーカーで原材料表示作成の実務をおこなう際、表示をするスペースが足りないという理由で、法律で認められた表示方法の中でなるべく文字数の少ない方法を採用することも少なくありません。
無印良品さんのパッケージの場合は、基本的にシンプルで欄外に余計なことをほとんど書いていないので、原材料のスペースをしっかり確保できるというのもあるのかもしれません。
無印良品バターチキンカレーの添加物表示
無印良品バターチキンカレーには、添加物の表示がありませんので、食品添加物が使われていないと考えられます。
袋の裏面上部に、化学調味料・合成着色料・香料不使用と書かれていました。
ただ、添加物不使用との記載はありませんので、もしかしたら表示が免除されるごく微量レベルで使用されているのかもしれません。(キャリーオーバーや加工助剤と呼ばれるものです。)
※無印良品バターチキンカレーがそうだという意味ではなく、一般論としてそのような可能性がありますよ、という意味です。
添加物表示の基礎知識については、コチラのページで解説しています。
無印良品バターチキンカレーの産地(原産国と原料原産地)
無印良品バターチキンカレーの原産国表示
無印良品バターチキンカレーには「原産国名」の表示がありません。
この場合、製品の原産国が日本ということを意味します。
名称 | |
原材料名 | |
内容量 | |
賞味期限 | |
保存方法 | |
原産国名 | 輸入品の場合、ここに国名 |
輸入者 |
「原産国名:アメリカ」のような表示はされますが、「原産国名:日本」のような表示はされずに、原産国名の項目そのものを設けないことになります。
ですので、原産国名が無い製品については、国産品ということが分かるわけです。
※ただし、ものすごく小さい商品(表示可能面積が約30cm2以下)の場合は、原産国名の省略が認められているので、輸入品であっても書かれない場合があります。これは、ごく僅かな限られたスペースの中に、アレルギーや賞味期限といった安全性に関わる項目を優先的に表示させるためです。
無印良品バターチキンカレーの原料の産地表示
加工食品では、最も使用量の多い原材料の産地または製造地を表示します。
蒸し鶏肉(タイ製造)の部分がそうです。
これは、鶏肉を蒸す工程までタイで行い、それが日本に輸入されたことを意味しています。
鶏肉の生産地については、この表示からは分かりません。
無印良品バターチキンカレーの表示のココがポイント!
レトルトパウチ食品に関する表示
「本品はレトルトパウチ食品です。」という表示がありますが、これは「レトルトパウチ食品である旨を表示する。」と法令で決められているからです。
そもそもレトルトパウチ食品って何?
という話ですが、食品表示基準では、以下のように定義されています。
プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。
引用元:食品表示基準 令和二年三月二十七日公布(令和二年内閣府令第二十号)改正 別表第三(第二条関係)
空気も光もほぼ通さない袋(気密性・遮光性)に食品を入れて密封してから、加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)したものですね。
加圧によって沸点が上がり100℃を超える温度で殺菌できることと、(加熱後の包装の場合は包装時に菌が入り込む恐れがあるが)包装後の加熱なので後から菌が入り込む余地がないことから、衛生面では極めて優れた食品と言えると思います。
実は、この殺菌方法に関する表示も義務付けられています。
「殺菌方法:気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌」と表示されていますね。
遮光性を有さないものと共通の表示義務項目なので、こちらには遮光性の文字は入っていません。
また、見やすい箇所に表示してあれば良いので、必ずしも原材料名等と同じ枠内に表示しなければならない訳ではありません。
プラスチック製容器包装に関する表示
よく見るこのマーク(プラマーク)ですが、これはプラスチック製容器包装に対して資源有効利用促進法で義務付けられている識別表示です。
「袋」の表示は、役割名と呼ばれるもので、多重容器包装でないものについては表示義務はありませんが、自主的に表示されているようです。
「PP, M, PA, PET」は、材質についての表示で、法的義務はありませんが、望ましいこととされています。
PPはポリプロピレンのことで、アンダーラインが引いてあるのは、ポリプロピレンが主たる材質であることを意味しています。
MはMetal(金属)のMです。プラスチックのリサイクルに関する表示なので、金属については鉄やアルミ等の具体的な物質名を表示するのではなく、単に金属として表示します。
PA, PETは、それぞれポリアミド(ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(ペット)のことです。
袋の表側には、辛さの目安が6段階(0辛~5辛)で表示されていて、バターチキンカレーは2辛(やや中辛)。万人受けする辛さかと思います。
無印良品のカレーは、インドカレー屋さんやエスニック料理のお店で食べる本格的なカレーに近い味が自宅で楽しめるので、個人的には家にストックがあって良かったと思う時が結構あります。
もちろん日本のカレーも好きなんですが、また別の料理と言いいますか、日本のカレーが食べたくなる時と本格的なインドカレーやエスニックカレーが食べたくなる時は、別々にやってきますからね。
無印良品の店舗や公式サイトのほか、通販サイトの一部でも扱いがあるようです。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
ごちそう様でした。