【食品表示検定・初級】勉強方法と過去問の出題傾向等について

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はじめに

上級食品表示診断士のヤマケンと申します。

私自身は中級から受けたため初級は受験してないのですが、品質部門ではない同僚(営業部など)が初級を受験する中で、初級を合格するケース、逆に合格できないケースが見えてきましたので、書いていきたいと思います。

目次のクリックやタップで該当の箇所までジャンプすることができますので、興味のある項目だけでも読んでいってください。簡易的な目次は、画面左(PC)、サイドバー(モバイル)にもあります。

このページのダイジェスト
  • 初級試験の合格率は60.0%ほどで、2021年前期試験までの累計合格者は32,243名。
    テキストは必須だが、テキストを読むだけでなく試験問題に触れるのが合格のカギ
  • 「最も不適切なものを選べ」という問題に注意

※勉強方法以外の内容(メリットや知名度など)は、別のページに載せています。
関連ページ:食品表示検定とは?|合格者目線・メーカー目線で解説


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「食品表示検定・初級」の概要

まず、食品表示検定・初級の概要(試験内容・合格率)についてです。

このような情報は既にご存じという場合は、目次のクリックやタップで該当の箇所までジャンプできますのでスキップしてください。目次は画面左(PC)、サイドバー(モバイル)にあります。

「食品表示検定・初級」の基本情報

第24回 初級試験(2021年11月21日)の基本情報です。

試験回次第24回 初級試験
試験日程2021年11月21日(日) 11:00~
申込期間(予定)2021年8月23日(月)~
団体申込期限:9月15日(水)
個人申込期限:9月22日(水)
※ 最終日 17:00まで
受験資格:不要
受験料:5,000円(税込)
対象食品表示を理解し、商品を選択したい消費者向け
食の生産、製造、流通等の食品表示の初心者向け
試験内容改訂6版・食品表示検定 認定テキスト・初級からの基礎知識と、
それを理解したうえでの応用力を問います。
※改訂6版初級認定テキストは2020年1月発行。
※初級については、問題集も発行されています。
試験時間90分間
※開始時に10分程度のガイダンスを行い、
試験はガイダンス終了後からの90分となります。
出題形式マークシート式による選択問題(全75問)
合格基準70点以上が合格(100点満点)
合否結果発表
(ホームページ照会)
2021年12月8日(水)~2022年1月7日(金)
※受験番号で照会します。
合否結果発表まで受験票の保管をお願いします。
合否結果照会ページ
※「受験案内 – 食品表示検定」の記載内容を抜粋・再編集したものです。
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。

「認定テキスト・初級からの基礎知識と、それを理解したうえでの応用力を問う」ことが書かれていますので、認定テキストの学習は必須と言えると思います。

初級については、「問題集」も発行されています(2018年8月発行)。

「食品表示検定・初級」の合格率

初級受験者合格者合格率
累計53,71832,24360.0%
2021年前期2,6781,69663.3%
2020年後期3,2302,24869.6%
2019年後期3,0831,92262.3%
2019年前期2,8121,82564.9%
2018年後期3,1181,96763.1%
2018年前期2,9441,92365.3%
2017年後期2,9031,79461.8%
2017年前期2,8551,85865.1%
2016年後期2,7751,67960.5%
2016年前期2,31774932.3%
2015年後期2,5791,81870.5%
2015年前期2,0951,17255.9%
2014年後期2,7701,74262.9%
2014年前期2,7821,06038.1%
2013年後期1,7391,03759.6%
2013年前期3,0951,44146.6%
2012年後期1,8161,01956.1%
2012年前期1,8631,14561.5%
2011年後期1,72498156.9%
2011年前期1,36585462.6%
2010年後期1,5841,11870.6%
2010年前期1,5911,19575.1%
※2020年前期の試験は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっています。

食品表示検定・初級の合格率は、高い回で75.1%、低い回で32.3%、2021年前期試験までの平均では60.0%となっています。

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「食品表示検定・初級」の勉強に使うべき教材は?

「食品表示検定・初級」の勉強に、最低限使うべき教材は次の2つです。

  1. 認定テキスト
  2. 公式サイトの試験問題例

※なお、公式サイトの試験内容のページに、ダウンロード用資料が記載される場合があります。もし資料があった場合は、「出ますよ」と言っているようなものですので最優先で取り組むべきだと考えられます。

教材①:認定テキスト

ダイヤモンド社より(一社)食品表示検定協会編著、「食品表示検定認定テキスト・初級」が発売されています。

繰り返しになりますが、「認定テキストからの基礎知識と、それを理解したうえでの応用力を問う」ことが公式ホームページに書かれていますので、認定テキストの学習は必須と言えます。

テキスト無しで学習を進めるのは極めて困難だと思われます。

もちろん法令そのものや官公庁の出版物だけで学習を進めることも不可能ではないのですが、それに抵抗がない人であれば、そもそも初級を飛ばして中級を受けた方が良いと思います。

注意して欲しいのは、認定テキストの「版」です。頻繁に改訂されますので(2年に1度程度)、特に中古等で入手される方は、受験予定の試験回の出題内容に記載された「版」のものを使うようにして下さい。

※第23回 食品表示検定・初級試験(2021年6月9日)は、「改訂6版」から出題されます。

念のために補足しておくと、検定協会が過度なお金稼ぎ目当てに版の改訂を繰り返しているわけでは無いと思います。食品表示関連の法令やガイドライン自体に、目まぐるしい改正がありますので。


教材②:公式サイトの試験問題例

公式サイトで過去問そのものは公開されていませんが、「試験問題例」が掲載されています。

公式サイトの「試験問題例」より以下のPDFをダウンロードしてください。

  • 初級試験問題例:過去5回分

※現在6回分ダウンロードできるようです(2021/2/12時点)。古いものから消される可能性もあるため、解く解かないは別としても、ダウンロード自体は早い方が良いかもしれません。

これは、「過去試験問題より一部抜粋されたもの」ですので、絶対にやったほうが良いです。

このページの冒頭で、初級に合格するケースと逆に合格できないケースについて触れましたが、試験問題に触れておくかどうかが一つのカギになっている印象です。

認定テキストは必須とはいえ、私の周りではテキストを読むだけの対策で試験に臨んだ人が不合格になっていました。

問題形式に慣れる意味でも、①ダウンロードできる試験問題例、もしくは次に挙げる②問題集、③セミナーで配布される過去問の、どれか一つは解いておくべきだと思います。

※なお、このページの下部で問題形式や出題傾向についての解説もしています。

問題集について

食品表示検定では唯一、初級についてのみ「問題集」が発売されています(2018年8月発行)。

ダウンロード資料の試験問題例だけでは足りない方、テキストを読むのが好きではなく、問題を解かないとモチベーションが上がらないという方は、試してみるのも良いかもしれません。

セミナーについて

初級のセミナーには公開講座とオンデマンド講座があり、いずれも有料で、公式サイトの検定対策セミナーのページに詳細が記載されています。

公開講座では、認定テキストの章ごとに重要項目の解説がなされるほか、直近の過去問が配布されます。

オンデマンド講座は、公開講座の録画を繰り返し視聴することでき、セミナー資料と直近の過去問がダウンロードできます。


ここまでは、「食品表示検定・初級」に使うべき教材等についてでした。

ここからは、「食品表示検定・初級」の出題形式についてです。

「食品表示検定・初級」の出題形式

「食品表示検定・初級」はマークシート式の試験で、例として次のような問題が出題されます。

  • ① 語句の穴埋め問題
  • ② 語句や文章の選択問題
  • ③ 表示をチェックする問題

①と②は一般的なマークシート式の試験で見られるような問題形式ですが、③については食品表示検定特有の問題形式ですので、試験前に目を通しておいたほうが良いと思われます。

出題形式① 穴埋め問題

食品表示検定初級第20回問題例3

出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 初級 試験問題例 (第20回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/

上の画像のような「穴埋め問題」が出題されます。

この問題は、表示義務のある「特定原材料」と「特定原材料に準ずるもの」の区分についての問題で、正解は「③落花生」です。

特定原材料は7品目だけですので、丸暗記で覚えるのもそこまで難しくはないと思いますが、次の「かえたらそこに」というゴロも使えます。(漢字は「変えたら」でも「買えたら」でも覚えやすい方で。)

品目読み頭文字
かに
えび
まご
落花生っかせい
そば
小麦むぎ
ゅう

ゴロについては、次のページに詳しく書いてあります。
【関連ページ】「アレルギー表示28品目」の覚え方(ゴロ合わせ)※アーモンド対応版

2021年3月現在、表示対象のアレルゲンは、「特定原材料7品目」と「特定原材料に準ずるもの21品目」の合計28品目です。上の問題例のように、それらを区別させる問題が出る可能性がありますので、「最低でも特定原材料7品目」だけは覚えて、どちらか区別できるようにしておくべきだと思います。

出題形式② 選択問題

食品表示検定初級第18回問題例1

出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 初級 試験問題例 (第18回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/

上の画像のような「文章の選択問題」や、「語句の選択問題」も出題されます。

この問題の正解(不適切な選択肢)は③です。同種の魚介類(マグロのトロと赤身)を盛り合わせたものは、生鮮食品に該当するためです。

なお、例えば「マグロとハマチ」のように異なるものを盛り合わせた場合は、加工食品になります。

生鮮と加工の区別については、テキストにも詳しく載っていますし、当サイトでも解説しています。
関連ページ:【食品表示】生鮮食品と加工食品の区分、一般用と業務用の区分とは?

また、この問題のように、食品表示検定の選択問題は「不適切な選択肢」を選ばせる問題が異常に多いです。これの対策については、後述しています。

出題形式③ 表示チェック

食品表示検定初級第18回問題例5

出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 初級試験問題例 (第18回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/

上の画像のような「表示チェック」の問題も出題されます。表示の不適切な箇所を探す問題ですので、実際の業務に近い問題と言えると思います。

なお、この問題の答えは①です。理由は、「しょうゆ」に含まれるアレルゲンが表示されていないためです。

「しょうゆ(小麦を含む)」、または「しょうゆ(大豆・小麦を含む)」のように表示します。

過去試験問題の出題傾向

以下は、前述の試験問題例(過去試験問題より一部抜粋されたもの)計30問に簡単なタイトルをつけ、表にしたものです。

回次問題例1問題例2問題例3問題例4問題例5
第16回トレーサビリティ精肉店での
表示(無包装)
アレルギー表示添加物の用途名牛乳の表示
第17回放射線照射に
関する事項
生鮮食品
(水産物)
代替表記保存方法の
表示の省略
原料原産地
第18回加工食品と
生鮮食品の区分
果物売り場での
表示(包装品)
加工食品の表示遺伝子組換え
食品
不適切な
表示部分
第19回有機農産物精肉店での
表示(無包装)
拡大表記添加物の用途名紙パックの
切り欠き表示
第20回加工食品の表示栄養成分表示特定原材料7品目畜産物の名称合挽肉の表示
第22回農産物売り場での
表示(包装品)
内容量の表示製造所固有記号加工食品と
生鮮食品の区分
アイスクリーム
の表示
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます
※第21回の試験は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっています。

この表から出題傾向について言えることは、身も蓋もないですが「テキストから幅広く出る」ことです。

全ての食品に共通する内容だけではなく、牛乳の切り欠き表示や殺菌の表示など、特定の食品だけに適用される表示事項についての問題も出ています。

ちなみに、表の中で「赤いマーカー」をつけた、「アレルギー表示」、「添加物の用途名」、「保存方法の表示の省略」、「遺伝子組換え食品」の問題の対策に、次の語呂合わせが役立つと思います。

「最も不適切なものを選べ」という問題への対策

食品表示検定・初級には、「最も不適切なものを1つ選んでください」「○○についての表示が義務付けられていないものを1つ選んでください」といったタイプの問題が出ます。

これを聞いて、「ああ、ひっかけ問題ね」と思った方。

少し違います。

次の、初級試験問題例、過去6回分30問を集計した表を見て下さい。

回次最も適切なもの
を選ぶ問題
最も不適切なもの
を選ぶ問題
第16回2問3問
第17回3問2問
第18回0問5問
第19回2問3問
第20回3問2問
第22回2問3問
12問18問

これを見ると、不適切なものを選ぶ問題のほうが多いことが分かります。

むしろ、「適切なものを選ぶ問題のほうが引っかけ」くらいの意識で臨むといいくらいのレベルです。

オススメする解き方としては、

① 選択肢ごとに○×△を付けていき、
② 「適切or不適切」のどちらが問われているかを再確認し、
③ 最後に選択肢にに矢印をつける

という方法です。

 ○ ①
→ × ②
 △ ③
 ○ ④


矢印があると自分が最終的にどの選択肢を選んだのかがパッと見で分かるので、後から見直す時や自己採点の時も便利だと思います。

矢印で選択肢にマーク

こんな感じです。実際に筆者が受けた時の中級試験のキャプチャです。

初級と中級のどちらを受けるべきか

食品表示検定・初級は、公式サイトでも

  • 食品表示を理解し、商品を選択したい消費者向け
  • 食の生産、製造、流通等の食品表示の初心者向け

と、書かれているとおり、基本的に食品表示を学ばれる消費者の方向けの試験だと思います。

また、私は食品メーカー勤務ですが、周りでは、品質部門ではない同僚(営業部など)が初級試験を受けています。

ただし、食品メーカーで品質管理や品質保証の仕事をされている方、あるいはその予定がある方に関しては、初級を飛ばして中級から受けた方が良いと思います。

理由の一つは、求人サイトで歓迎要件に「中級以上」という記載のある求人を良く見かけるため。

もう一つは、名刺に「中級食品表示診断士」と記載した方にお会いする機会は度々あるものの、「初級食品表示診断士」と記載した方にお会いしたことは無いためです。

詳しくは次のページに記載していますので、興味があればお読みください。
関連ページ:「食品表示検定・中級」の合格率とメリット・食品業界での評価について
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・中級の勉強方法

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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