食品表示作成の前に確認すべき大前提とは?

上級食品表示診断士のヤマケンです。

食品表示は、主に食品表示法に基づき表示するもので、消費者の方に食品の情報を伝える大切な役割を果たしていますが、それ以前に、そもそも食品自体、食品そのものが法令等に適合していなければなりません。

それらの違反は主に食品安全に関わることで、表示違反よりも重いペナルティーが課されることも多いため、食品製造への新規参入を考える場合、あるいは既に食品製造を営んでいても今までとはカテゴリの異なる新商品の開発を検討する場合、優先的に考えておく必要があります。

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営業許可はありますか?

食品衛生法に基づく営業許可は、新商品を開発して食品表示を考える前に確認すべきことです。もしかしたらその新商品は、営業許可が必要な食品で、現在許可を受けている業種の範囲外の食品かもしれません。

食品衛生法に基づく営業許可業種は、調理業、製造業、販売業、処理業に分類されますが、そのうち製造業に類するものは以下の業種です。

1菓子製造業
2あん類製造業
3アイスクリーム類製造業
4乳製品製造業
5食肉製品製造業
6魚肉ねり製品製造業
7清涼飲料水製造業
8乳酸菌飲料製造業
9氷雪製造業
10食用油脂製造業
11マーガリン又はショートニング製造業
12みそ製造業
13醤油製造業
14ソース類製造業
15酒類製造業
16豆腐製造業
17納豆製造業
18めん類製造業
19そうざい製造業
20かん詰又はびん詰食品製造業
21添加物製造業

また、食品衛生法に基づく営業許可以外にも、許可ではなく届出(報告)が必要な業種や、自治体によって条例に基づく条例許可業種というものもあります。特に条例については情報も少ないので、ある程度ご自身で調べた後は、管轄の保健所に確認するのが一番だと思います。

外部リンク:保健所管轄区域案内 厚生労働省

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添加物の使用基準は満たしていますか?

食品添加物には使用基準が定められているものがあります。例えば二酸化硫黄では、「ごま、豆類及び野菜に使用してはならない」といった使用制限が設けられています。また、多くの添加物に使用量(濃度)の最大限度が定められています。

これらの基準を満たさないものは、そもそも販売できませんので、表示作成より先に確認する必要があります。

外部リンク:食品添加物 厚生労働省
外部リンク:添加物使用基準リスト(公財)日本食品化学研究振興財団

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残留農薬の基準は満たしていますか?

残留農薬等に関する制度、いわゆるポジティブリスト制度に適合しないものは違反食品となってしまいますので、これもやはり表示作成より先に確認する必要があります。

ポジティブリスト制度は、人の健康を損なうおそれのないことが明らかである物質を除き、原則全ての農薬等について残留基準を設定し、基準を超えて残留する食品の販売等を禁止するものです。

残留農薬について、関係するのは主に農家さんで、メーカーにはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、小麦粉や果実ジュース、植物油、乾燥果実、乾燥野菜など、加工食品も対象になっていますので、注意が必要です。

外部リンク:食品中の残留農薬等 厚生労働省
外部リンク:残留農薬基準値検索システム(公財)日本食品化学研究振興財団

HACCPによる衛生管理の義務化に対応していますか?

HACCPHazard Analysis and Critical Control Point/ハサップ)による衛生管理が、2020年06月より1年間の経過措置期間を経て2021年6月1日に完全義務化されました。

HACCPは、もともとアメリカのNASA発の衛生管理手法で、現在では、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法として各国で採用されています。

HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。

引用元:HACCP(ハサップ) 厚生労働省

HACCPは、次の7原則12手順をもって構築、運用します。

手順1HACCPチームの編成
手順2製品説明書の作成
手順3製品の用途と対象消費者の確認
手順4製造工程一覧図の作成
手順5製造工程一覧図の現場確認
手順6原則1危害要因の分析(HA:Hazard Analysis)
手順7原則2重要管理点(CCP)の決定
手順8原則3管理基準の設定
手順9原則4モニタリング方法の設定
手順10原則5管理基準を逸脱した場合の改善措置の設定
手順11原則6検証方法の設定
手順12原則7記録と保存方法の設定

よくある勘違いは、HACCP義務化にあたって何らかの認定や認証が必要というものですが、事業者自らが7原則12手順を構築して運用できるのであれば、認証等を取得する必要はありません。(大手スーパーや百貨店が取引の条件として認証を求めるケースはあります。法的な義務はないという意味です。)

もちろん認証によって対外的なアピールになる、自社の衛生管理水準が上がる等のメリットはありますので、納得された上で認証を取得するのであれば良いのですが、民間認証機関の場合、認証の費用やコンサル料が高額になるケースも多いため、まずはご自身で最低限の知識の習得をおすすめします。

外部リンク:HACCP(ハサップ) 厚生労働省
外部リンク:自治体HACCP等認証制度 (一財)食品産業センター

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