畑の肉(大豆)と本物の肉(牛肉や豚肉)の栄養成分を比較してみた

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畑の肉

大豆

まるで肉のように豊富なタンパク質を含むことから、畑の肉と呼ばれます。

しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。

なんとなくノリと雰囲気で付けられた別名で、言い過ぎ、盛り過ぎという可能性はないでしょうか。

ということで、実際に「畑の肉(大豆)」と「本物の食肉」の栄養成分を比較してみました。

海のミルク森のバター畑の肉の栄養成分を比較する連載企画の一つです。

関連ページ:海のミルク(牡蠣)と本物のミルク(牛乳)の栄養成分を比較してみた
関連ページ:森のバター(アボカド)と本物のバターの栄養成分を比較してみた

比較する成分としては、水分と灰分、食品表示法上の栄養成分表示(エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量)に加えて、残りの5大栄養素のビタミンとミネラルとしました。

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大豆と肉の【栄養成分基本5項目+水分+灰分】

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛ヒレ※64.622319.1150.30.11
大豆※12.442233.819.729.504.7
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※肉類/うし/[和牛肉]/ヒレ/赤肉、生
※豆類/だいず/[全粒・全粒製品]/全粒/国産/黄大豆/乾

表を見てみると牛ヒレと大豆の水分値が大きく異なるため、このまま比較してもあまり意味がないかもしれません。

例えば、同じ「ぶどう」でも生とレーズンでは、水分値が異なるので、栄養成分も大きく変わってしまいます。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
ぶどう(生)※83.5590.40.115.700.3
干しぶどう※14.53002.70.280.301.9
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※果実類/ぶどう/生
※果実類/ぶどう/干しぶどう

もちろん、同じ重量を食べた場合に摂取できる栄養成分が多いのは干しぶどうですし、栄養価が高いのは栄養が凝縮した干しぶどうの方だというのは、一つの事実だとは思います。

ただし、これは乾燥の過程で栄養がモリモリ湧き出て来た訳ではなく、水分を失ったことによる密度の違いによるものです。

本題の肉と大豆を比べるにあたっても、単純な数値の高低ではなく、数値のバランスを見るのが適切かもしれません。

とりあえず、水分を含むであろう、ゆでた状態の大豆と、枝豆(未成熟の大豆)を追加してみます。ついでに、肉側も牛ヒレだけでは心許ないので色々と追加してみます。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛ヒレ64.622319.1150.30.11
牛もも※61.225919.218.70.50.11
豚ヒレ※74.211222.71.70.10.11.3
豚もも※64.222519.515.10.20.11
ささみ※7510923.90.80.10.11.2
鶏もも※68.520416.614.200.20.9
生大豆12.442233.819.729.504.7
茹大豆※65.417614.89.88.401.6
枝豆※71.713511.76.28.801.6
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※肉類/うし/[和牛肉]/もも/脂身つき、生
※肉類/ぶた/[中型種肉]/ヒレ/赤肉、生
※肉類/ぶた/[中型種肉]/もも/脂身つき、生
※肉類/にわとり/[若鶏肉]/ささ身/生
※肉類/にわとり/[若鶏肉]/もも/皮つき、生
※豆類/だいず/[全粒・全粒製品]/全粒/国産/黄大豆/ゆで
※野菜類/えだまめ/生

まず、6種の肉はほとんど炭水化物は含んでいないことが分かります。残りの三大栄養素のタンパク質と脂質を見てみると、ヒレやささみは脂質をほとんど含まないのに対して、脂身つきモモ肉は脂質を含んでいます。大豆はヒレやささみよりは、脂身つきモモ肉に近そうです。

さて、とはいえ、大豆と肉だけを見ていても他の食材との比較になりませんので、肉はもも肉に絞り、更に適当な食材を追加して確認してみましょう。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛もも61.225919.218.70.50.11
豚もも64.222519.515.10.20.11
鶏もも68.520416.614.200.20.9
茹大豆65.417614.89.88.401.6
枝豆71.713511.76.28.801.6
鶏卵※76.115112.310.30.30.41
さんま※55.631818.125.60.10.41
人参※89.7360.80.18.70.10.7
バナナ※75.4861.10.222.500.8
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※鶏卵 全卵 生
※魚介類/さんま/皮つき/生
※野菜類/(にんじん類)/にんじん/根、皮むき、生
※果実類/バナナ/生

魚、卵、野菜、果物を追加してみました。

これを見ると、動物性の魚や卵に引けを取らず、人参やバナナとは比較にもならないほどのタンパク質や脂質が含まれています。この時点で既に大豆の肉具合(肉度)は高いと言ってしまって良いレベルです。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛もも61.225919.218.70.50.11
豚もも64.222519.515.10.20.11
鶏もも68.520416.614.200.20.9
茹大豆65.417614.89.88.401.6
枝豆71.713511.76.28.801.6
鶏卵76.115112.310.30.30.41
さんま55.631818.125.60.10.41
えび※78.29819.81.50.10.81.6
いか※79.78517.610.40.41.3
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※魚介類/(えび類)/あまえび/生
※魚介類/(いか類)/やりいか/生

植物性の食材では相手にならなそうなので、代わりに海老と烏賊を追加しました。これらの品目で、次の章からは細かく見ていきたいと思います。

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大豆と肉のミネラル

100g
当たり
灰分
(g)
カリ
ウム
(mg
カルシ
ウム
(mg)
マグネ
シウム
(mg)
リン
(mg)

(mg)
亜鉛
(mg)

(mg)
マン
ガン
(mg)
ヨウ素
(μg)
セレン
(μg)
クロム
(μg)
モリブ
デン
(μg)
牛もも13204221602.540.070.01
豚もも13304221900.520.070.01
鶏もも0.92905211700.61.60.040.01Tr1702
茹大豆1.6530791001902.21.90.231.0102Tr77
枝豆1.659058621702.71.40.410.71011240
鶏卵113051111801.81.30.080.02173205
さんま120028281801.40.80.120.02223221
えび1.631050422400.110.440.021833Tr1
いか1.330010422800.11.20.250.02
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

基本的には、肉の長所や特徴に近いものが「○○のバター」と呼ばれるにふさわしいと思いますので、ミネラルの観点から見た場合の、肉の長所を考えます。

ミネラルの中で、肉の長所と言える成分は、(牛もも)と亜鉛です。

食品表示基準において「○○豊富」や「○○を含む」と言うには条件があります。

100g
当たり
亜鉛
高い」と言える基準
※「豊富」、「たっぷり」等も同じ
2.04mg以上2.64mg以上
含む」と言える基準
※「含有」、「入り」等も同じ
1.02mg以上1.32mg以上

牛モモは鉄と亜鉛のいずれも「高い」と言える水準にあり、豚モモと鶏モモも亜鉛が「含む」と言える水準を満たしています。

次に大豆を見てみると、茹大豆の状態でも枝豆の状態でも、鉄は「高い」、亜鉛は「含む」基準を満たしています。

亜鉛と鉄に関して、鶏卵、さんま、いか、えびは、茹大豆や枝豆に及んでいません。

ミネラルにおける肉度に関して言うと、植物でありながら動物性の卵や魚介類を凌駕しているわけですから、ミネラルに関する大豆の肉度は相当高いと言っていいんじゃないでしょうか。

大豆と肉のビタミン

100g
当たり
ビタ
ミン
A※
(μg)
ビタ
ミン
B1
(mg)
ビタ
ミン
B2
(mg)
ビタ
ミン
B6
(mg)
ビタ
ミン
B12
(μg)
パン
トテン

(mg)
ナイ
アシン
当量
(mg)
ビオ
チン
(μg)
ビタ
ミン
C
(mg)
ビタ
ミン
D
(μg)
ビタ
ミン
E※
(mg)
ビタ
ミン
K
(μg)
葉酸
(μg)
牛ももTr0.090.20.341.21.09‘(9.6)100.368
豚もも50.90.190.370.30.92‘(11.2)10.10.331
鶏もも400.10.150.250.30.818.43.530.40.72913
茹大豆Tr0.170.080.1‘(0)0.263.99.8Tr‘(0)1.6741
枝豆220.310.150.15‘(0)0.534.211.127‘(0)0.830320
鶏卵1500.060.430.080.91.45325.401.811343
さんま160.010.280.5416.20.7411.17.4Tr15.71.7115
えび30.020.030.042.40.214.42.1Tr‘(0)3.4‘(0)25
いか80.040.030.11.10.275.92‘(0)1.4‘(0)5
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※原本ではレチノール活性当量と記載。当サイトでビタミンAに言い換えているものです。
※原本ではαートコフェロールと記載。当サイトでビタミンEに言い換えているものです。
注:()括弧で表示されているものは推定値です。

肉と言えば、ビタミンB群というイメージがありますが、やはりその通りでした。

B1、B2はそれほどでもないのですが、B6B12(牛もも)パントテン酸ナイアシンが、食品表示基準において「高い」または「含む」と言える水準にあります。
※パントテン酸、ナイアシンもビタミンB群に含まれます(かつて、それぞれB5、B3と呼ばれていた成分です)。

それに対して、大豆はナイアシンでは健闘したものの、他の3成分は今一つでした。卵や魚介類にも負けています。

ビタミンの観点で言えば、大豆の肉度はあまり高くないと言えるでしょうか。

もっと畑の肉にふさわしい野菜はないのか?

他の畑の食材に肉度で後れを取るようでは、畑の肉にふさわしいとは言えませんので、様々な畑の食材(豆、野菜、果実的野菜)を追加して考察してみます。

項目については、基本項目に加え、肉の長所の鉄と亜鉛、ビタミンB群より4成分としました。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)

(mg)
亜鉛
(mg)
ビタ
ミン
B6
(mg)
ビタ
ミン
B12
(μg)
パン
トテン

(mg)
ナイ
アシン
当量
(mg)
牛もも61.225919.218.70.50.112.540.341.21.09‘(9.6)
豚もも68.118320.510.20.20.110.720.310.30.84‘(10.5)
鶏もも68.520416.614.200.20.90.61.60.250.30.818.4
茹大豆65.417614.89.88.401.62.21.90.1‘(0)0.263.9
枝豆71.713511.76.28.801.62.71.40.15‘(0)0.534.2
茹そら豆※71.311210.50.216.901.12.11.90.13‘(0)0.39‘(2.5)
生そら豆※72.310810.90.215.501.12.31.40.17‘(0)0.462.9
茹えんどう※89.1343.20.2700.50.80.60.06‘(0)0.47‘(1.0)
生えんどう※88.6363.10.27.500.60.90.60.08‘(0)0.561.2
茹いんげん※91.7261.80.25.500.80.70.30.07‘(0)0.16‘(0.8)
生いんげん※92.2231.80.15.100.80.70.30.07‘(0)0.170.9
モロヘイヤ※86.1384.80.56.302.110.60.35‘(0)1.83‘(1.6)
オクラ※90.2302.10.26.600.90.50.60.1‘(0)0.421.2
かぼちゃ※86.7491.60.110.900.70.50.30.12‘(0)0.50.9
さつまいも※65.61341.20.231.9010.60.20.26‘(0)0.91.1
いちご※90340.90.18.500.50.30.20.04‘(0)0.330.5
メロン※87.8421.10.110.300.70.30.20.1‘(0)0.19‘(0.6)
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※野菜類/そらまめ/未熟豆、ゆで
※野菜類/そらまめ/未熟豆、生
※野菜類/(えんどう類)/さやえんどう/若ざや、ゆで
※野菜類/(えんどう類)/さやえんどう/若ざや、生
※野菜類/いんげんまめ/さやいんげん/若ざや、ゆで
※野菜類/いんげんまめ/さやいんげん/若ざや、生
※野菜類/モロヘイヤ/茎葉、生
※野菜類/オクラ/果実、生
※野菜類/(かぼちゃ類)/日本かぼちゃ/果実、生
※いも及びでん粉類/(さつまいも類)/さつまいも/塊根、皮むき、生
※果実類/いちご/生
※果実類/メロン/温室メロン/生

大豆以外の豆を3種と、あとは野菜で何となく強そうな連中(モロヘイヤ等)と、一応畑のフルーツ枠(果実的野菜)からイチゴとメロンをピックアップしました。

こうして見ると、やはり肉度で言うと大豆が突出していますね。
豆類の中でも強いです。

ただし、いんげんやえんどうに比べ、ソラ豆はかなり良い線いっています。ミネラルは大豆とほぼ互角で、タンパク質でやや負けている分、若干ですが大豆に肉度で劣るでしょうか。

とはいえ、脂質をほとんど含まない点において、もし畑のササミ対決であれば大豆よりも圧倒的にソラ豆に軍配が上がるかと思います。ソラ豆業界の皆様、「畑のササミ」のキャッチコピー、いかがでしょうか。

他の野菜の肉度は、大豆やそら豆と比べるまでもないですが、唯一モロヘイヤに関して言えば、インゲンやエンドウを凌ぐレベルで健闘しています。さすが、野菜の王様の別名を持つだけある、といった感じでしょうか。

結論

検証方法に賛否あるかとは思いますが、総合的に考えた結果、当サイトとしましては、以上をもって大豆は畑の肉として超妥当という結論としたいと思います。

そもそもがソイプロテインとして利用されるくらいですから(プロテイン:英語でタンパク質の意)、ある意味では当然というか、今回は出来レースに近かったかもしれません。

海のミルク編森のバター編もありますので、宜しければご覧ください。

関連ページ:海のミルク(牡蠣)と本物のミルク(牛乳)の栄養成分を比較してみた
関連ページ:森のバター(アボカド)と本物のバターの栄養成分を比較してみた

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