森のバター(アボカド)と本物のバターの栄養成分を比較してみた

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森のバター

アボカド

バターのように濃厚でクリーミー、果実でありながら脂肪分が豊富なことから、森のバターと呼ばれます。

しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。

なんとなくノリと雰囲気だけで付けられた別名なのではないでしょうか。

ということで、実際に「森のバター(アボカド)」と「本物のバター」の栄養成分を比較してみました。

海のミルク森のバター畑の肉の栄養成分を比較する連載企画の一つです。

関連ページ:海のミルク(牡蠣)と本物のミルク(牛乳)の栄養成分を比較してみた
関連ページ:畑の肉(大豆)と本物の肉(牛肉や豚肉)の栄養成分を比較してみた

比較する成分としては、水分と灰分、食品表示法上の栄養成分表示(エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量)に加えて、残りの5大栄養素のビタミンとミネラルに、脂肪酸およびコレステロールとしました。

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アボカドとバターの【栄養成分基本5項目+水分+灰分】

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
バター15.87630.5830.200.5
アボカド71.31872.518.76.201.3
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※油脂類/(バター類)/食塩不使用バター
※果実類/アボカド/生

表を見てみるとバターとアボカドの水分値が大きく異なるため、このまま比較してもあまり意味がないかもしれません。

例えば、同じ「ぶどう」でも生とレーズンでは、水分値が異なるので、栄養成分も大きく変わってしまいます。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
ぶどう(生)※83.5590.40.115.700.3
干しぶどう※14.53002.70.280.301.9
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※果実類/ぶどう/生
※果実類/ぶどう/干しぶどう

もちろん、同じ重量を食べた場合に摂取できる栄養成分が多いのは干しぶどうですし、栄養価が高いのは栄養が凝縮した干しぶどうの方だというのは、一つの事実だとは思います。

ただし、これは乾燥の過程で栄養がモリモリ湧き出て来た訳ではなく、水分を失ったことによる密度の違いによるものです。

本題のバターとアボカドを比べるにあたっても、単純な数値の高低ではなく、数値のバランスを見るのが適切かもしれません。3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)でいうところの、いわゆるPFCバランスですね。

さて、とはいえ、2品だけを見ていても良く分かりませんので、適当な品目を追加して確認してみましょう。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
バター15.87630.5830.200.5
アボカド71.31872.518.76.201.3
さんま※55.631818.125.60.10.41
牛ヒレ※64.622319.1150.30.11
鶏卵※76.115112.310.30.30.41
人参※89.7360.80.18.70.10.7
バナナ※75.4861.10.222.500.8
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※魚介類/さんま/皮つき/生
※肉類/うし/[和牛肉]/ヒレ/赤肉、生
※鶏卵 全卵 生
※野菜類/(にんじん類)/にんじん/根、皮むき、生
※果実類/バナナ/生

魚、肉、卵、野菜、果物を追加してみました。

これを見ると、脂質が高くタンパク質と炭水化物が低いバターの栄養バランスに、アボカドは比較的よく似ています。3大栄養素の観点から言えば、アボカドのバター具合(バター度)はそれなりに高いと言えるんじゃないでしょうか。

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アボカドとバターのミネラル

100g
当たり
灰分
(g)
カリ
ウム
(mg)
カルシ
ウム
(mg)
マグネ
シウム
(mg)
リン
(mg)

(mg)
亜鉛
(mg)

(mg)
マン
ガン
(mg)
ヨウ素
(μg)
セレン
(μg)
クロム
(μg)
モリブ
デン
(μg)
バター0.522142180.40.10.010.013Tr03
アボカド1.3720933550.70.70.240.180102
さんま120028281801.40.80.120.02223221
牛ヒレ13403221802.54.20.090.01
鶏卵113051111801.81.30.080.02173205
人参0.7270269250.20.20.050.1Tr111
バナナ0.8360632270.30.20.090.260107
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

バターはあまりミネラルが高くありません。基本的にはバターの長所や特徴に近いものが「○○のバター」と呼ばれるにふさわしいと思いますので、バターの特徴が出ているとは言い難いミネラルを比較してもあまり意味がないかもしれません。

なお、アボカドは、カリウムが豊富で、マグネシウムもそれなりに含まれていて、総じてミネラル豊富な果物と言えると思います。(食品表示基準 別表第12、高い旨、含む旨の100kcal当たりの数値をそれぞれ満たしています。)

アボカドとバターのビタミン

100g
当たり
ビタ
ミン
A※
(μg)
ビタ
ミン
B1
(mg)
ビタ
ミン
B2
(mg)
ビタ
ミン
B6
(mg)
ビタ
ミン
B12
(μg)
パン
トテン

(mg)
ナイ
アシン
当量
(mg)
ビオ
チン
(μg)
ビタ
ミン
C
(mg)
ビタ
ミン
D
(μg)
ビタ
ミン
E※
(mg)
ビタ
ミン
K
(μg)
葉酸
(μg)
バター80000.03Tr0.10.08‘(0.1)0.300.71.4241
アボカド60.10.210.32‘(0)1.652.65.315‘(0)3.3‘(0)84
さんま160.010.280.5416.20.7411.17.4Tr15.71.7115
牛ヒレ10.090.240.371.61.28‘(8.4)100.448
鶏卵1500.060.430.080.91.45325.401.811343
人参6900.070.060.1‘(0)0.330.92.86‘(0)0.51823
バナナ50.050.040.38‘(0)0.440.91.416‘(0)0.5‘(0)26
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※原本ではレチノール活性当量と記載。当サイトでビタミンAに言い換えているものです。
※原本ではαートコフェロールと記載。当サイトでビタミンEに言い換えているものです。

バターはビタミンAが豊富で、ビタミンEとKもそこそこ含まれています。

それに対して、アボカドはビタミンB6とE、パントテン酸、ナイアシン、葉酸が豊富です。

ビタミンの観点で言えば、類似性が見られず、アボカドのバター度は低いと言えるでしょう。

ビタミンに関しては、人参がバターに近いでしょうか。

というより、人参は約9割が水分という構成でありながらこれだけの数値を叩き出しており、バターとの類似性うんぬんを抜きにして、単純にビタミン豊富な食材だと思います。むしろ、バターの方が酪農界の人参かもしれません。

マーガリンとも比較する

バターと勢力を二分するマーガリンについても、比較対象に加えてみました。脂質以外の比較はあまり意味が無さそうなので、脂質を少しだけ細かく見てみます。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
脂質
(g)
脂肪酸
総量
(g)
飽和
脂肪酸
(g)
一価
不飽和
脂肪酸
(g)
多価
不飽和
脂肪酸
(g)
コレステ
ロール
(mg)
バター15.8763837352.4318.522.05220
マーガ
リン※
14.776983.175.3323.0439.3212.985
アボカド71.318718.716.223.2110.822.16Tr
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※油脂類/(マーガリン類)/ソフトタイプマーガリン/家庭用

まず、マーガリンは、もともとバターに似せて作られた加工食品ということもあってか、両者のPFCバランスはほぼ同じです。

ただし、脂質の内訳を見ると違いが見られ、バターは飽和脂肪酸の比率が高く、マーガリンは不飽和脂肪酸の比率が高くなっています。

一般に飽和脂肪酸は動物性の油脂に、不飽和脂肪酸は植物性の油脂に多く含まれるものですので、アボカドについても例に漏れず、不飽和脂肪酸の比率が高くなっています。マーガリンやアボカドは、コレステロールもほぼ含みません。

コレステロールの表示について豆知識を一つ。

食品表示基準においては、仮にコレステロールがゼロであっても、飽和脂肪酸を100g当たり1.5g以上含む場合は、コレステロールを「含まない」とか「低い」とか言うことが出来ません。コレステロールの表示については更に他にも条件があります。

今回の筆者のように、第三者がネット上で言う分には問題ないですが、事業者自身が表示しようとする場合は問題になる可能性がありますので、ご注意を。

3品の脂肪酸の構成やコレステロールを比較すると、アボカドはむしろ森のマーガリンと言った方が妥当な気はしますが、そもそも植物性のものを植物性のもので例えるのは意味が薄いため、ノーカンでいいでしょうか?

動物性のバターだからこそ、果実の例えに使われる意味があるわけでしょうし。

もっと森のバターにふさわしい森の食材はないのか?

他の森の食材にバター度で後れを取るようでは、森のバターにふさわしいとは言えませんので、様々な森の食材(果実、木の実、山菜、ジビエ)を追加して考察してみます。項目については、基本項目に加え、バターの長所のビタミンAとしました。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
ビタ
ミン
A※
(μg)
バター15.87630.5830.200.5800
アボカド71.31872.518.76.201.36
バナナ75.4861.10.222.500.85
ドリアン※66.41332.33.327.100.93
マンゴー※82640.60.116.900.451
栗※58.81642.80.536.9013
たけのこ※90.8263.60.24.301.11
しいたけ※88.3233.10.47.600.7‘(0)
鹿肉※71.414023.940.30.11.24
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※果実類/ドリアン/生
※果実類/マンゴー/生
※種実類/(くり類)/日本ぐり/生
※野菜類/たけのこ/若茎、生
※きのこ類/しいたけ/生しいたけ/原木栽培、生
※肉類/しか/にほんじか/赤肉、生

選出した食材の中では、脂質が高くタンパク質と炭水化物が低いバターの栄養バランスに似ているのは、アボカドだけという結果になりました。

鹿肉や他のジビエで脂身の多い部分を選びさえすれば、更に脂質の割合が近いものもあるとは思いますが、そもそもが動物性のバターに対して、似ているジビエ肉を探してきたところでどうなんだろう、という気もします。

一方で、ビタミンAに関するバター度で言えば、マンゴーに軍配が上がりました。選出した品目の中で、食品表示基準においてビタミンA豊富と言える水準にあるのは、バターとマンゴーだけという結果になりました。

結論

検証方法に賛否あるかとは思いますが、総合的に考えた結果、当サイトとしましては、以上をもってアボカドは森のバターとしてそこそこ妥当という結論としたいと思います。

栄養成分の観点から見たバター度で言えば、結局は、果物の中では突出した脂質の多さという特殊性。その一点突破でポイントを稼いだ感じでしょうか。

なお、栄養成分について散々語ってきて最後の〆の言葉としてふさわしいかどうかは分かりませんが、濃厚でクリーミーなその舌触りについては、文句なしの森のバターだと思っております。

海のミルク編畑の肉編もありますので、宜しければご覧ください。

関連ページ:海のミルク(牡蠣)と本物のミルク(牛乳)の栄養成分を比較してみた
関連ページ:畑の肉(大豆)と本物の肉(牛肉や豚肉)の栄養成分を比較してみた

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