海のミルク(牡蠣)と本物のミルク(牛乳)の栄養成分を比較してみた

スポンサーリンク

海のミルク

牡蠣

乳白色でクリーミー、牛乳のように様々な栄養成分を含むことから、海のミルクと呼ばれます。

しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。

なんとなくノリと雰囲気だけで付けられた別名なのではないでしょうか。

ということで、実際に「海のミルク(牡蠣)」と「本物のミルク(牛乳)」の栄養成分を比較してみました。

海のミルク森のバター畑の肉の栄養成分を比較する連載企画の一つです。

関連ページ:森のバター(アボカド)と本物のバターの栄養成分を比較してみた
関連ページ:畑の肉(大豆)と本物の肉(牛肉や豚肉)の栄養成分を比較してみた

比較する成分としては、水分と灰分、食品表示法上の栄養成分表示(エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量)に加えて、残りの5大栄養素ビタミン、ミネラルとしました。

スポンサーリンク

牡蠣と牛乳の【栄養成分基本5項目+水分+灰分】

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
 (g) 
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛乳87.4673.33.84.80.10.7
生牡蠣※85706.92.24.91.22.1
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※乳類/(液状乳類)/普通牛乳
※魚介類/かき/養殖、生

水分値がほぼ等しいので、このまま比較して良さそうです。水分値がかけ離れていると、そのまま比較してもあまり意味がなく、かといって同じ水分値になるように補正して比較するのもそれはそれで微妙ですので。

さて、なんとなく両者は似ている気はしますが、この2品だけを見ていても良く分かりませんので、適当な品目を追加して確認してみましょう。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
 (g) 
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
牛乳87.4673.33.84.80.10.7
生牡蠣85706.92.24.91.22.1
さんま※55.631818.125.60.10.41
牛ヒレ※64.622319.1150.30.11
鶏卵※76.115112.310.30.30.41
人参※89.7360.80.18.70.10.7
バナナ※75.4861.10.222.500.8
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※魚介類/さんま/皮つき/生
※肉類/うし/[和牛肉]/ヒレ/赤肉、生
※鶏卵 全卵 生
※野菜類/(にんじん類)/にんじん/根、皮むき、生
※果実類/バナナ/生

魚、肉、卵、野菜、果物を追加してみました。

これを見るに、牡蠣の牛乳具合(ミルク度)はかなり高いと言えるんじゃないでしょうか。

食塩相当量や灰分(ミネラルのようなもの)こそミルク度で他の食品に劣りますが、水分値に加えて、タンパク質、脂質、炭水化物の3大栄養素の値がそこそこ近いのがポイント高いです。

また、カロリーは一般に3大栄養素から計算される数値に一部補正がかかったものですので、3大栄養素の値が近い両者はカロリーも必然的に近いものになっています。

ここで栄養素の豆知識を一つ。
食品表示基準においてたんぱく質が豊富と言うには条件があり、以下のいずれかを満たす必要があります。

①100g当たり16.2g以上
②100ml当たり8.1g以上 ※飲料のみ
③100kcal当たり8.1g以上

生牡蠣は、①は満たさず②は対象外ですが、70kcalで6.9gを100kcal当たりに換算すると約9.86gとなり、③の条件を満たしますので、たんぱく質が豊富な食品と言えます。

スポンサーリンク

牡蠣と牛乳のミネラル

100g
当たり
灰分
(g)
カリ
ウム
(mg)
カルシ
ウム
(mg)
マグネ
シウム
(mg)
リン
(mg)

(mg)
亜鉛
(mg)

(mg)
マン
ガン
(mg)
ヨウ素
(μg)
セレン
(μg)
クロム
(μg)
モリブ
デン
(μg)
牛乳0.7150110109300.40.01Tr16304
生牡蠣2.119084651002.114.51.040.39674634
さんま120028281801.40.80.120.02223221
牛ヒレ13403221802.54.20.090.01
鶏卵113051111801.81.30.080.02173205
人参0.7270269250.20.20.050.1Tr111
バナナ0.8360632270.30.20.090.260107
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

まず、牡蠣のミネラルが全体的に高いのが目につきます。牛乳と比べても、その他の食品と比べても突出しています。

そんな中で、やはり牛乳と言えばカルシウム。今回選出した食品の中でトップの値です。とはいえ、牡蠣もそれに匹敵する数値でした。この中では、食品表示基準上でカルシウム豊富と言える条件を満たしているのは、この2品だけでした。

食品表示基準でカルシウム豊富と言える基準。以下のいずれか。

①100g当たり204mg以上
②100ml当たり102mg以上 ※飲料のみ
③100kcal当たり68mg以上

牛乳は②と③を満たし、生牡蠣は③を満たします。

肝心の牡蠣のミルク度については、牡蠣のミネラルが高すぎるがゆえ、あまり良好とは言えませんが、牛乳の長所であるカルシウムの高さをカバーしているのはポイントが高いでしょうか。

ちなみに亜鉛と言えば牡蠣と言われるだけのことはある納得の数値ですね。食品表示法上100g当たり2.64mgで豊富と言えるところ、100g当たり14.5mgと、えげつないくらい高いです。

牡蠣と牛乳のビタミン

100g
当たり
ビタ
ミン
A※
(μg)
ビタ
ミン
B1
(mg)
ビタ
ミン
B2
(mg)
ビタ
ミン
B6
(mg)
ビタ
ミン
B12
(μg)
パン
トテン

(mg)
ナイ
アシン
当量
(mg)
ビオ
チン
(μg)
ビタ
ミン
C
(mg)
ビタ
ミン
D
(μg)
ビタ
ミン

(mg)
ビタ
ミン
K
(μg)
葉酸
(μg)
牛乳380.040.150.030.30.550.91.810.30.125
生牡蠣240.070.140.0723.10.542.64.830.11.3039
さんま160.010.280.5416.20.7411.17.4Tr15.71.7115
牛ヒレ10.090.240.371.61.28‘(8.4)100.448
鶏卵1500.060.430.080.91.45325.401.811343
人参6900.070.060.1‘(0)0.330.92.86‘(0)0.51823
バナナ50.050.040.38‘(0)0.440.91.416‘(0)0.5‘(0)26
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※原本ではレチノール活性当量と記載。当サイトでビタミンAに言い換えているものです。
※原本ではαートコフェロールと記載。当サイトでビタミンEに言い換えているものです。

ビタミンB2は牛乳と生牡蠣ともに豊富(100kcal当たり0.14mg以上)で、牡蠣はビタミンB12が突出して高い他、全体的にビタミンの数値が高めに出ています。

ただ今回問題としているのは栄養価の単純な高低ではなく、ミルク度なわけです。

ミネラルと同様に、牡蠣のビタミンが高いものが多く、ミルク度はあまり良好とは言えませんが、やはり牛乳の長所のビタミンB2をカバーした点が好印象です。

もっと海のミルクにふさわしい海産物はないのか?

他の海産物にミルク度で後れを取るようでは、海のミルクにふさわしいとは言えませんので、様々な海産物(魚、魚卵、貝、甲殻類、軟体動物、海藻)を追加して考察してみます。項目については、基本項目に加え、牛乳の長所のカルシウムとビタミンB2としました。

100g
当たり
水分
(g)
エネル
ギー
(kcal)
たんぱ
く質
(g)
脂質
(g)
炭水
化物
(g)
食塩
相当量
(g)
灰分
(g)
カル
シウム
(mg)
ビタミ
ンB2
(mg)
牛乳87.4673.33.84.80.10.71100.15
生牡蠣85706.92.24.91.22.1840.14
さんま55.631818.125.60.10.41280.28
イクラ※48.427232.615.60.22.33.2940.55
しじみ※86647.51.44.50.41.22400.44
甘エビ※78.29819.81.50.10.81.6500.03
槍いか※79.78517.610.40.41.3100.03
ほや※88.83050.80.83.34.6320.13
わかめ※89161.90.25.61.53.31000.18
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
※魚介類/(さけ・ます類)/しろさけ/イクラ
※魚介類/しじみ/生
※魚介類/(えび類)/あまえび/生
※魚介類/(いか類)/やりいか/生
※魚介類/ほや/生
※藻類/わかめ/原藻、生

これを見ると、牛乳は3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)のバランス(PFCバランス)が良い食品で、これに近いのは牡蠣と言えるかと思います。

また、牛乳の長所カルシウムとビタミンB2についても牡蠣は酷似しています。これらについては、しじみが更に上を行っていますので、そもそも牛乳が貝に近いと言った方が適切なのではという疑問はありますが、本題のミルク度に関して言えば、やはり海産物の中でも牡蠣は優秀と言えるのではないかと考えられます。

貝類と中で比較した場合、クリーミーな舌触りのミルク度に関しても、やはり牡蠣は優秀だと思います。貝類はコリッと弾力のあるものが多いですし。ここまで栄養成分の比較をしてきて、食感うんぬんは元も子も無い気はしますが。

海のパイナップルと呼ばれる「ほや」が、むしろ海のミルクとして良いセン行ってくれたら面白いと思って選出したのですが、残念ながら期待外れでした。調べていませんが、恐らくはパイナップルの栄養成分からも遠いだろうと思います。見た目から付けられた別名でしょうし。

結論

検証方法に賛否あるかとは思いますが、総合的に考えた結果、当サイトとしましては、以上をもって牡蠣は海のミルクとして妥当という結論としたいと思います。

先人が付けた牡蠣の別名はすばらしいものでした。疑ってしまい、大変失礼いたしました。

森のバター編畑の肉編もありますので、宜しければご覧ください。

関連ページ:森のバター(アボカド)と本物のバターの栄養成分を比較してみた
関連ページ:畑の肉(大豆)と本物の肉(牛肉や豚肉)の栄養成分を比較してみた

タイトルとURLをコピーしました