※筆者および本サイトは、商品のメーカーとは一切関係がありません。最新の情報は、実物の表示やメーカー公式サイト等をご確認ください。
ラベルレスボトルの食品表示とは?
食品の表示に関わる仕事をしているヤマケンと申します。(上級食品表示診断士)
「ラベルレスボトル」とは、そのまま表示ラベルの無いペットボトルのことです。
【関連ページ】ラベルレスボトルとは?|扱う際の注意点・食品表示上の問題点も解説
「表示ラベルの無い商品の食品表示」とは、どういうことでしょうか。
最近、食品業界の関係者からも、「あれ(ラベルレスボトル)って、どうなってるの?」と聞かれることが増えてきました。
答えは、「『ケース単位の商品』で、段ボール箱に食品表示がある」です。
このページでは、食品表示を含め「段ボール箱に何が書いてあるか?」を中心に、解説・考察していきたいと思います。
目次のクリックやタップでその項目までジャンプできますので、興味のある項目だけでも読んでもらえたらと思います。※モバイル表示の場合、サイドバー内にあります。
段ボール表示
今回は、「ラベルレス カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」を見ていきます。
段ボール上面
「ラベルレス カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」の段ボール上面には、「ケース販売専用商品・お店で開封しないでください」といった「注意喚起表示」や、「原材料名・栄養成分」といった「食品表示」が記載されています。
段ボール長面
段ボール長面には、「注意喚起表示」のほか「賞味期限」と「製造所固有記号」が記載されています。
段ボール短面
段ボール短面には、上面と同じく「注意喚起表示」と「食品表示」が記載されています。
食品表示(別記様式)
名称 | 清涼飲料水 |
原材料名 | 砂糖類(果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、砂糖)、 脱脂粉乳、乳酸菌粉末/安定剤(大豆多糖類、ペクチン)、 酸味料、香料 |
内容量 | 100ml×30本 |
賞味期限 | ケース側面左に記載 |
保存方法 | 高温、直射日光をさけ保存してください。 |
アサヒ飲料株式会社 東京都墨田区吾妻橋1-23-1 |
次は、段ボール箱記載の「食品表示」を見ていきます。
「内容量:100ml×30本」というのは、「ケース単位の製品」であることを意味しています。
例として、「大袋に入っていて、更に一つ一つが『個包装』されているお菓子」を思い浮かべてみてください。
「ラベルレスボトル」は、いわばお菓子の「個包装」に当たります。
そして、「段ボール箱」が「外側の袋」に相当するわけですね。
「ケース販売専用商品」とすることによって、「個包装タイプの大袋お菓子」と同様の商品となり、「計量法」や「食品表示法」の表示義務を、「段ボール箱への表示のみ」でクリアしているんですね。
※ラベルレスボトル商品を「袋入りのお菓子」に例えましたが、「資源有効利用促進法」においては両者の扱いは異なります。詳しくはこちらへ(資源有効利用促進法の省令一部改正)。
カロリー・栄養成分表示など
栄養成分表示 | 100ml当たり | 1本(30ml)当たり |
---|---|---|
エネルギー | 60kcal | 約18kcal |
たんぱく質 | 1.0g | 約0.3g |
脂質 | 0g | 約0g |
炭水化物 | 14g | 約4.2g |
食塩相当量 | 0.1g | 約0.03g |
カルシウム | 33mg | 約9.9mg |
実際の表示 | 当サイト計算 |
・「カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」のカロリーは、100ml当たり60kcalです。
・1本(30ml)当たりに換算したカロリーは、約18kcalになります。
・「カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」の塩分(食塩相当量)は、100ml当たり0.1gです。
・1本(30ml)当たりに換算した塩分は、約0.03gになります。
※なお、「脂質は0g」の表示ですが、「100mlあたり0.5g未満」であれば「ゼロ表示」が可能ですので、ごく微量含まれている可能性はあります。
賞味期限・製造所固有記号
「ラベルレス カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」は、「賞味期限」や「製造所固有記号」についても、段ボール箱に表示されています。
なお、賞味期限は年月日ではなく「年月で表示」されています。
⇒「年月表示」は、「製造(または加工)の日から賞味期限までの期間が3ヶ月を超える製品」の場合に可能な表示方法です。
「製造所固有記号」は、表示責任者に応答の義務があるほか、消費者庁のサイトから検索することも可能です。
「販売者:アサヒ飲料株式会社」さんの「(+)CS」に対応する製造者は「株式会社コスモフーズ」さんで、製造所住所は「埼玉県児玉郡神川町大字二ノ宮105」のようです。
※専門的な話ですが、アサヒ飲料さんの自社工場でも「ラベルレス カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」の製造設備(または充填設備)を持っていることが、食品表示から分かります。
⇒①製造所固有記号は同一製品を2ヶ所以上で製造する場合に限って使用できる制度であるため、②食品表示の会社名の前が「空欄」なのは、アサヒ飲料さんが販売者になる時と製造者になる時の両方ともがある場合の表示であるため、という2点が根拠です。
なお、「賞味期限」や「製造所固有記号」は、各ラベルレスボトルのキャップ部分にも印字されています。
これは、食品表示法の表示義務を満たすための表示ではなく、消費者の利便性のための表示でしょう。
もしくは、そもそも通常品には絶対に印字するものですので、印字しないように切り替える方がむしろオペレーション上のコストやリスクが増すから、だと思います。
あるいは、それら両方の理由かもしれません。
6本パック入り
「ラベルレス カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」は、他のラベルレスボトル製品と異なり、6本パックでの状態で段ボールに入っています。
6本パックが5セット入って、計30本で1ケースという構成です。
この6本パックにも食品表示がなされていました。
ケース専用製品であるラベルレスボトルをバラ売りすると食品表示法違反になると考えられますが、(ラベルレスボトルとは?|扱う際の注意点・食品表示上の問題点も解説)、この6本パックの状態での販売については、商取引上は分かりませんが、少なくとも食品表示法上の問題はなさそうに見えますね(推奨はしませんので、自己責任でお願いします。)。
ここまで、読んでいただき、ありがとうございました。他のラベルレスボトル商品についても、順次、表示解説ページをアップできたらと思っています。
関連ページ:ラベルレスボトル一覧【種類別・メーカー別】