「食品表示検定・中級」の合格率とメリット・食品業界での評価について

上級食品表示診断士のヤマケンと申します。

このページでは、「食品表示検定・中級」を受けようか、受けるべきか迷っている方に向けて、中級試験の概要、難易度、評価、メリットなどについて解説します。

なお、筆者は食品メーカーの品質部門に勤めていて、実際に中級を受験・合格し、その後、上級まで合格しています。

資格の総合情報サイトのように綺麗にまとまったページではありませんが、それとはまた違った視点(食品メーカー視点、合格者視点)でのメリットや評価に興味のある方は、ぜひ読んでいってください。

目次のクリックやタップで該当の箇所までジャンプすることもできますので、興味のある項目だけでも読んでもらえたらと思います。目次は画面左(PC)、またはサイドバー(モバイル)にあります。

このページのダイジェスト
  • 中級試験の合格率は50.1%ほどで、2021年前期試験までの累計合格者は35,716名。
  • 食品関連資格のなかでは知名度・評価が高い資格と言える。
  • 実生活でも、市販品の商品パッケージを見ただけで様々なことが分かるように。
  • 「中級食品表示診断士」と名刺に記載可能。
  • 合格すると上級試験を受験可能に。

※勉強方法や出題傾向の分析などは、別のページに載せています。
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・中級の勉強方法

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「食品表示検定・中級」の概要

はじめに、食品表示検定・中級の概要について説明します。

こういった情報は既にご存じ、という方はスキップしてください。
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中級試験の基本情報

第24回 中級試験(2021年11月21日)の基本情報です。

試験回次第24回 中級試験
試験日程2021年11月21日(日) 14:30~
申込期間(予定)2021年8月23日(月)~
団体申込期限:9月15日(水)
個人申込期限:9月22日(水)
※ 最終日 17:00まで
受験資格:不要
受験料:8,500円(税込)
対象生産、製造、流通等において、食品表示の専門的な
知識を得て業務に活かす必要のある人材向け
試験内容改訂7版・食品表示検定 認定テキスト・中級からの基礎知識と、
それを理解したうえでの応用力を問います。
※改訂7版中級認定テキストは2021年1月発行。
試験時間90分間
※開始時に10分程度のガイダンスを行い、
試験はガイダンス終了後からの90分となります。
出題形式マークシート式による選択問題(全100問)
合格基準70点以上が合格(100点満点)
合否結果発表
(ホームページ照会)
2021年12月8日(水)~2022年1月7日(金)
※受験番号で照会します。
合否結果発表まで受験票の保管をお願いします。

合否結果照会ページ
※「受験案内 – 食品表示検定」の記載内容を抜粋・再編集したものです。
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。

「認定テキスト・中級からの基礎知識と、それを理解したうえでの応用力を問う」ことが書かれていますので、認定テキストの学習は必須と言えると思います。

次回2021年11月の中級試験(第23回)は、2021年1月19日発行の中級テキスト「改訂7版」に準拠した問題が出題されます。

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「食品表示検定・中級」の合格率や難易度

中級受験者合格者合格率
累計71,36035,71650.1%
2021年前期3,3081,60848.6%
2020年後期4,3212,31853.6%
2019年後期4,6182,65157.4%
2019年前期3,3731,53145.4%
2018年後期4,7452,30648.6%
2018年前期3,5111,70348.5%
2017年後期4,6172,97864.5%
2017年前期3,1331,61651.6%
2016年後期4,3411,93944.7%
2016年前期3,0891,29742.0%
2015年後期3,6331,89552.2%
2015年前期2,4871,02341.1%
2014年後期3,0671,58751.7%
2014年前期2,3511,26553.8%
2013年後期3,3101,67650.6%
2013年前期2,50877931.1%
2012年後期2,8111,21843.3%
2012年前期2,0121,05752.5%
2011年後期2,9151,83663.0%
2011年前期1,96870836.0%
2010年後期3,2161,43644.7%
2009年後期2,0261,28963.6%
※2020年前期の試験は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっています。

食品表示検定・中級の合格率は、高い回で64.5%、低い回で31.1%、2021年前期試験までの平均では50.1%となっています。

2021年前期試験までの累計で、71,360名が受験し、35,716名が合格しています。

なお、2019年後期試験までの中級試験「合格者」の累計31,790名に対して、2020年までの上級試験「受験者」の累計はちょうど6,000名ですので、中級合格から上級受験にチャレンジする人の割合は高く見ても18.9%ほどと考えられます。
(中級・上級とも複数回合格者はほぼおらず、上級の複数回受験者がそれなりにいるものと想定した場合)

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「食品表示検定・中級」の評価・知名度

食品業界内での評価・知名度

食品表示検定は2009年(上級は2011年)にスタートした比較的新しい検定ですが、食品業界(特に加工食品)で既に名の知れた資格だと言って差し支えないと思います。

全ての職種で必要と言うわけではありませんが、食品メーカーで品質管理や品質保証の業務をするなら、食品表示に関する知識の習得は避けては通れません。
食品表示の知識があることを測る資格としては、現時点では食品表示検定が最適であり、中級合格者であれば実務レベルの知識がある人と判断できます。

また、筆者は食品業界で色々な方と名刺交換をする機会がありますが、そのなかで名刺に「中級食品表示診断士」と記載された方に度々お会いします。
※後述しますが、「中級食品表示診断士」は中級合格者が名刺に記載できる資格の名称です。

名刺交換した方々の業種は、食品メーカーや原材料メーカーもちろん、商社・問屋・小売まで幅広く、中には包材メーカーや検査機関(細菌検査や栄養成分検査)の営業担当の方もいました。

このことから、筆者の個人的な感覚は別にしても、少なくとも食品業界内で「名刺に書ける資格」として認知されていることは間違いないかと思います。

転職市場での評価

食品関連の民間資格や検定は、正直なところ資格ビジネスにすぎないようなものも多いのが現状です。

そんななか、食品表示検定は比較的新しい検定試験ではありますが、前述のとおり食品業界では一定の評価を得ており、「正当に評価される・履歴書に書ける」資格だと思われます。


求人サイトを見ると、業務の一部に食品表示関連業務を含んだ「品質部門」の求人では、「中級以上が歓迎要件」となっているのをよく目にします。

また、「食品表示担当者」というピンポイントな求人では、「中級以上が必須要件」となっているのをよく見ます。

食品表示の実務経験者の方で転職を視野に入れている場合は、食品表示の知識があることを対外的に示すために中級以上を取得しておいて損はないと思います。

派遣社員やパート、アルバイト採用の求人では、「資格不問」や「初級が歓迎要件」となっているケースをよく目にしますが、「中級以上なら経験不問」といった求人も見たことがあります。派遣社員やパート、アルバイト採用の場合、表示作成というよりは「規格書作成チーム」の求人が多い印象です。


なお、某求人情報検索エンジンにて“食品表示”でフレーズ検索すると約500件Hitするのに対して、“食品表示検定”でフレーズ検索したところ約240件Hit、食品表示検定に合格すると名乗ることができる“食品表示診断士”でフレーズ検索すると約110件Hitしました。(2020年5月)

ざっくりとですが、本文等に食品表示の文言を含む求人の半数程度は、求人の要件や資格補助制度等なんらかのかたちで、「食品表示検定」または「食品表示診断士」を求人広告中に盛り込んでいるようです。

なお、検索結果ボリュームの比較対象のイメージとして、同検索エンジンにて有名どころの検索をしました。“簿記”が22,900件くらい、“日商簿記”が11,600件くらいのボリューム感だったことを申し添えます。

新卒採用の場合

上記は、中途採用の場合を想定して書いたもので、新卒採用の場合は話が違っていきます。

もちろん、食品系の学校や学部から食品業界にエントリーするのであれば、勉強をしてきたことの裏付けの一つになると思います。

ただ、そうではなく全く関係の無い学部から食品業界への就職を希望する場合に、限られた時間のなかで、数ある資格のなかで、あえて食品表示検定を受けるべきか、それによって有利になるかというと、必ずしもそうとは思えません。

食品表示が志望動機と深く関係しているような場合はともかく、基本的には入社してから、もっと言えば配属先が決まってから受験すれば充分かと思います。

社内(食品メーカー)での評価や食品表示知識の活かし方

社内での評価は、当然ながら会社によってバラバラだと思われますので、ここでは筆者の体験談や一般論をベースにした話になります。

筆者が受験したきっかけは、会社の指示で、受験費用も会社持ちでした。筆者が所属している会社では、品質管理や品質保証、商品開発に配属された場合や、製造部門の責任者になった場合の受験が必須になっており、ほとんどが1年目か遅くとも2年以内には中級を取得しています。

品質部門(品質管理・品質保証)

品質部門では、表示を作成したりチェックしたり、管理したりするのに食品表示の知識が必要です。

お客様相談室が品質部門内に設置されている企業では、その対応時にも知識が必要だと思います。商品の不具合(クレーム)以外だと、お客様からの問い合わせで多いのは食品表示や産地に関するものです。

品質部門とお客様窓口が分かれている企業でも、食品表示に関するお問い合わせの場合は、内容によっては品質部門が引き継いで対応します。

商品開発

商品開発では、商品の構想段階、原料選定や包材選定の段階で、食品表示の知識がある程度あって表示の必要事項などをイメージできる状態だと、それらの知識が無い場合に比べて開発がスムーズに進むと思います。

あとは新商品開発の際、「デザインが崩れる」と主張するパッケージデザイナーと、「いや法律で決まってるから」と主張する品質部門との間をとりもつ時なんかに、食品表示の知識が必要になったりすることもあるかもしれません。

営業事務

営業事務では、得意先から商品の規格書・仕様書の提出を求められた際に、食品表示の知識が必要になることがあります。

規格書作成を品質部門が担当するか、営業事務が担当するか、あるいは規格書の複雑さによって振り分けたり、作成とチェックで分業したり等は組織によって異なると思います。

いずれにしても、例えばマスタデータから得意先の独自フォームに転記(コピペ)をする作業なんかの場合に、「原産国と原料原産地の違い」や、「特定原材料、特定原材料に準ずるもの、コンタミネーションの違い」が分からない状態だと、どの項目をどこに転記するべきか分からず、単純な転記も難しいと考えられます。そのため、ある程度の食品表示の知識は必要になります。

「規格書の提出」というと、商品開発時に作った規格書をPDFやプリントで提出するだけだろうと思われるかもしれませんが、食品業界の場合、メーカー規格書を提出して終わりというのはあまり多くありません。

スーパーAにはエクセルの独自フォームで提出して、スーパーBにはまた別のエクセルフォーム、ドラッグストアCには専用WEBシステムで入力、百貨店DにはFAXで送信みたいなイメージです。
統一規格が実質あってないようなもので、「商品の数 × 得意先独自フォームの数」に近いだけの規格書を作ることになります。

新規取引の場合はもちろんですが、商品リニューアルや表示に関する法改正があった場合は基本的には再提出になります。
エクセル方眼紙のシートが2桁に及ぶような規格書フォーマットだと頭が痛くなります。

筆者はこの作業の自動化を試みたりもしましたが、前回の提出から期間が開くとフォーム自体が全く変わってしまっていたり、一見同じフォームでもひっそり列が追加されていたり、経由する商社によって独自のアレンジが加わっていたりするので、ほぼ諦めました。

ここまでは、「食品表示検定・中級」の評価・知名度についてでした。

ここからは、「食品表示検定・中級」のメリットについてです。

食品表示検定・中級のメリット

社内評価や転職に有利に

社内評価や転職でのメリットに関しては、評価・知名度の項にて前述したとおりです。

食品業界では一定の評価を得ており、「正当に評価される・履歴書に書ける」資格ですので、特に品質部門での転職を検討されている方にとってはメリットとなると考えられます。

実生活でのメリット

そもそも「食品」自体が生活に直結しているものですので、実生活でのメリットも多いです。

スーパーやコンビニで市販品の商品パッケージを見ただけで、様々なことが分かるようになります。
以下、その例を挙げてみます。

  • 怪しげな健康食品やサプリと、まともな商品との違いが分かり、騙されることはまず無くなります。(法的に禁止されている表示や、表示するための条件がある内容が分かるため、それを守っていない商品の見分けはつきます)
  • カロリーや栄養成分の多い少ないが、パッと見で何となく分かります。
  • 原材料と添加物の違いが分かります。
  • 産地情報が分かります。(ひとくちに産地と言っても、原料の産地なのか、製品の製造地なのかで意味は異なりますが、その違いも判断できるようになります)
  • 製造工場の調べ方が分かります。(あのコンビニの商品、パッケージは違うけど、あのメーカーのアレと出元は同じだなみたいなことが大体分かります)

名刺への記載(中級食品表示診断士)

食品表示検定中級の合格証

評価・知名度の章でも少し触れましたが、合格すると郵送されてくる合格証に、「資格:中級食品表示診断士」と書かれています。

この資格名は、名刺に記載することも出来るとされており、実際に筆者も「中級食品表示診断士」と名刺に記載された方にお会いする機会が度々あります。

その業種は、食品メーカーや原材料メーカーもちろん、商社・問屋・小売まで幅広く、中には包材メーカーや検査機関(細菌検査や栄養成分検査)の営業担当の方もいました。

yamaken
yamaken

余談かつ個人的な意見ですが、「○○検定合格」や「○○検定××点」等と名刺に書くのはなんとなく気が引けてしまいます。それに対して、「○○士」とか「○○員」のような名称があると、心のハードルが下がって比較的抵抗なく名刺に書ける気がします。
※前者の書き方をされている方を悪く言う意図はありません。筆者個人の心の持ちようの話なので。

なお、名刺に「初級食品表示診断士」と記載した方には会った記憶はありません。

初級の合格率は6割前後、中級の合格率は5割前後で、難易度を見ても個人的にはそこまで大きく変わるとは思っていません(上級は難易度がグッと上がりますが)。
初級もそれなりに覚えることが多く、無対策で勘で受かるような試験ではありませんが、やはり対外的なイメージには初級と中級とで大きな違いがあります。

ですので、せっかく勉強するのであれば中級の受験か、もしくは初級・中級のW受験をオススメします。特に食品業界のなかでも、食品表示に直接関わる仕事をする場合は、中級以上を目指すべきだと思います。

上級試験への受験資格

中級は受験資格は不要ですが、上級を受験するためには中級合格者である必要があります。

なお、2019年後期試験までの中級試験「合格者」の累計31,790名に対して、2020年までの上級試験「受験者」の累計はちょうど6,000名ですので、中級合格から上級受験にチャレンジする人の割合は高く見ても18.9%ほどと考えられます。
(中級・上級とも複数回合格者はほぼおらず、上級の複数回受験者がそれなりにいるものと想定した場合)

上級には、上級合格者のみが参加できる「食品表示活用研究会」など、多くのメリットがあります。興味があれば上級のページも見てみてください。
関連ページ:「食品表示検定・上級」の難易度とメリット・食品業界での評価について

初級や上級との違い

最後に、中級試験と、初級・上級それぞれの違いをまとめます。

初級試験と中級試験の違い

受験料初級:5,000円(税込)/中級:8,500円(税込)
出題数初級:75問/中級:100問
※試験時間は90分で同一なので、中級では内容に加えてスピードも求められます。
時間帯初級:午前/中級:午後
※同一会場を選択すれば、W受験(併願)も可能です。
認定教材初級:初級テキストおよび初級問題集/中級:中級テキスト
合格率初級:約60%/中級:約50%

中級試験と上級試験の違い

実施⽇程中級:年2回実施(6月頃・11月頃)/上級:年1回実施(11月頃)
受験資格中級:不要/上級:中級合格者のみ
受験料中級:8,500円(税込)/上級:21,000円(税込)
開催地※開催地は年によっても、前期・後期によっても異なりますが、
上級のほうが少ないです。
出題形式
試験時間
中級:マークシート式・90分間
上級
・基礎知識分野(マークシート式・45分)
・専門知識分野(記述式・105分)
認定教材中級:中級テキスト/上級:無し
合格点中級:70点以上/上級: 80点以上
※いずれも100点満点
合格率中級:約50%/上級:約15%

受けてみようかなと思った方は、勉強方法や問題例についてのページも見てみてください。
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・中級の勉強方法

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