【表示作成に入る前に】食品表示法を読んでおくべき

上級食品表示診断士のヤマケンです。

食品表示について初めて勉強する場合、社内の先輩から聞いたり、地方自治体がまとめているパンフレットを読んだり、あるいは食品表示検定のテキストから入ったり、色々な入口があると思います。

その後、食品表示の全体像が何となく掴めてきたら、次は関連法規の原文を見ることになるかと思います。

具体的には以下のような法規です。

① 食品表示法
② 食品表示基準
③ 食品表示法について
④ 食品表示基準Q&A

①と②が法令特有の言い回しでとっつきづらいのに対し、③は一般的な文体で、④に至っては1問1答形式のうえに「ですます調」で書かれているため、読みやすい③や④から読み込む方が少なくないように思います。

ですが、最重要なのは②の食品表示基準です。

また、①の食品表示法については、食品表示の担当者であっても、一度も読んだことがない方もいるようです。

確かに、法律は、政令や内閣府令を定める旨が規定されていたり、大臣がとるべき行動が規定されていたりと、直接的には事業者に関係ない内容も多いですが、一部関係するものもありますので、抜粋して見ていきたいと思います。

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食品表示法はどこで見れば良い?

先に挙げた4つの資料は、全て消費者庁の「食品表示法等(法令及び一元化情報)」というページにある、以下のPDFファイルを開けば見ることができます。

① 食品表示法(法律)
② 食品表示基準(統合版)
③ 食品表示法について(統合版)
④ 食品表示基準Q&A(統合版)

ただし、このうち①と②は縦書きで書かれていて、好みにもよるとは思いますが、筆者個人としては、すごく見づらいです。

①と②は「e-Gov法令検索」からも見ることができますので、こちらをお勧めします。

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食品表示法の条文を実際に確認

第一条 (目的)

この法律は、食品に関する表示が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割を果たしていることに鑑み、販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の譲渡を含む。以下同じ。)の用に供する食品に関する表示について、基準の策定その他の必要な事項を定めることにより、その適正を確保し、もって一般消費者の利益の増進を図るとともに、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)、健康増進法(平成十四年法律第百三号)及び日本農林規格等に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)による措置と相まって、国民の健康の保護及び増進並びに食品の生産及び流通の円滑化並びに消費者の需要に即した食品の生産の振興に寄与することを目的とする。

引用元:食品表示法 第一条

第一条には食品表示法の目的が規定されています。

目的の他に注目すべきは、「販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の譲渡を含む。以下同じ。)の用に供する食品に関する表示について、基準の策定その他の必要な事項を定める」の部分かと思います。

販売の用に供する食品に関する表示について
⇒売り物にする食品が対象。

不特定又は多数の者に対する販売以外の譲渡を含む
⇒ただし、不特定または多数に配るなら、非売品でも対象。

第二条 (定義)

この法律において「食品」とは、全ての飲食物(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品及び同条第九項に規定する再生医療等製品を除き、食品衛生法第四条第二項に規定する添加物(第四条第一項第一号及び第十一条において単に「添加物」という。)を含む。)をいう。
2 この法律において「酒類」とは、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類をいう。
3 この法律において「食品関連事業者等」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一 食品の製造、加工(調整及び選別を含む。)若しくは輸入を業とする者(当該食品の販売をしない者を除く。)又は食品の販売を業とする者(以下「食品関連事業者」という。)
二 前号に掲げる者のほか、食品の販売をする者

引用元:食品表示法 第二条

第一条には定義が規定されています。

「食品」とは
⇒全ての飲食物(医薬品を除き、添加物を含む)をいう。

「食品関連事業者等」とは
⇒食品関連事業者:製造、加工、輸入、販売を業とする者。
⇒それら加えて、(業としていなくても)食品の販売をする者。※食品関連事業者等の「等」の部分のことです。

第四条(抜粋) (食品表示基準の策定等)

内閣総理大臣は、内閣府令で、食品及び食品関連事業者等の区分ごとに、次に掲げる事項のうち当該区分に属する食品を消費者が安全に摂取し、及び自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項を内容とする販売の用に供する食品に関する表示の基準を定めなければならない。

引用元:食品表示法 第四条(抜粋) 

第四条にて、「内閣総理大臣が内閣府令で定めなければならない」と規定されている「販売の用に供する食品に関する表示の基準」こそが、まさに「食品表示基準」です。

また、「食品及び食品関連事業者等の区分ごとに」とあります。これは、「生鮮食品/加工食品/添加物」の区分と、「一般用/業務用など」の区分です。

詳しくは、以下の関連ページにて解説しています。
関連ページ:【食品表示】生鮮食品と加工食品の区分、一般用と業務用の区分とは?

第五条 (食品表示基準の遵守)

食品関連事業者等は、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならない。

引用元:食品表示法 第五条 

第五条は明瞭で簡潔です。食品表示基準に従わなければならない旨を規定しています。

第六条以降

第六条以降は、不適正な表示に対する措置や罰則その他について規定しています。

「適切な表示をしていれば問題ない」と言ってしまえばそれまでですが、表示作成そのものにも関わってくる箇所があります。以下、第六条八項の引用です。

8 内閣総理大臣は、食品関連事業者等が、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるものについて食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をし、又は販売をしようとする場合において、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該食品関連事業者等に対し、食品の回収その他必要な措置をとるべきことを命じ、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。

引用元:食品表示法 第六条八項

食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として「内閣府令」で定める旨、それについて食品表示基準違反があった場合に回収や業務停止命令が可能な旨が書かれています。

なお、この内閣府令の名称はとても長く、以下がその名称です。

食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令

この第六条第八条の命令に従わなかった場合、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金又はこれを併科(第十七条)、さらに法人についての両罰規定もあり、三億円以下の罰金刑に処す(第二十二条)と規定されています。

さて、「安全性に重要な影響を及ぼす事項」ですが、表示の作成時の判断にも影響するはずです。

まず、この事項については絶対にミスの無いよう、他の事項に比べて作成時のチェック体制を強化すべきという判断ができるかと思います。

また、容器の表示可能面積が狭い場合などは一部の表示項目の省略が可能となっていますが、この「安全性に重要な影響を及ぼす事項」については省略できない、認められていないと思ってください。

もちろん実際に食品表示作成をする場合は食品表示基準そのものを確認するべきですが、「安全性に重要な影響を及ぼす事項は省略できない」ことを大枠で捉えているだけでも日々の表示チェック等の際に役立つかと思います。また、「食品表示検定」を受ける場合などは、省略可能な選択肢を選んだり消したりするのにも役立つかもしれません。

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