「名称」の表示について|食品表示の作成方法と注意点【一般用加工食品】

※このページは食品表示作成の一部を解説したものです。実際の表示作成にあたっては、最新の法令等の原文をご参照のうえ、担当行政機関等にご相談ください。
※このページは【一般用加工食品】が対象です。食品の区分(生鮮or加工/一般用or業務用など)についてはコチラへ。

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このページの構成

表示の基本的な考え方⇒ 主に「食品表示基準」の解説
表示の補足事項⇒「食品表示基準について」の解説
表示に関するQ&A⇒「食品表示基準Q&A」の抜粋

「Q&A」を最初に読み込む方が多い印象ですが、食品表示作成にあたっては「食品表示法」⇒「食品表示基準」⇒「ついて」⇒「Q&A」と、根っこの部分から理解していくのが重要になります。

なお、食品表示の勉強は、まずは食品表示検定・中級レベルの内容を覚えてしまうのが最も効率的だと思います。このページは、中級レベルの知識を前提として、実際の表示作成や上級受験の際の考え方等について解説したものです。
【関連ページ】食品表示検定とは?|合格者目線・メーカー目線で解説
【関連ページ】【合格者が語る】食品表示検定・中級の勉強方法

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「名称」表示の基本的な考え方

「名称」表示の原則

  • 「一般用加工食品」には、「名称」の表示が必要です。
  • 「商品名」ではなく、その食品の内容を表す「一般的な名称」を表示します。

名称の表示方法については、以上が原則ですが、次の3点に特に注意が必要です。

「名称」表示の注意点

①食品表示基準「別表第5」に掲げられた食品の名称は、それ以外の食品の名称として使用できません。

⇒これらの名称は、好き勝手に使うことができません(名称規制、名称使用制限などと呼ばれています)。
⇒食品の定義(用語の意義)は「別表第3」に記載されています。

<別表第5に掲げられた食品の例>
トマトソース、ベーコン、魚肉ハム、マヨネーズ、米酢、乾燥コンソメ、マーガリン、豆乳など。

関連ページ:食品表示基準の【別表一覧/別記様式一覧】と【内容】

②食品表示基準「別表第4」に掲げる食品に該当する場合、同表の内容に従って表示します。

⇒別表第4には、名称や原材料名などの表示方法について、「個別のルール」が定められています。

<別表第4の表示内容の例>
ジャムのうち、⼀種類の果実等を使⽤したものにあっては当該果実等の名称を冠して「いちごジャム」、「りんごジャム」、「あんずジャム」等と、⼆種類以上の果実等を使⽤したものにあっては「ミックスジャム」と表⽰する。

関連ページ:食品表示基準の【別表一覧/別記様式一覧】と【内容】

③乳(※)及び乳製品の種類別については、「乳等省令第2条」の定義に従って表示します。

※以下は本ページ更新時点(2021年1月)のものです。
※最新の法令は、e-Gov法令検索等でご確認ください。

第二条 この省令において「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛
乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。
2 この省令において「生乳」とは、搾取したままの牛の乳をいう。
3 この省令において「牛乳」とは、直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売(不特
定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)する牛の乳をいう。
4 この省令において「特別牛乳」とは、牛乳であつて特別牛乳として販売するものをいう。
5 この省令において「生山羊乳」とは、搾取したままの山羊乳をいう。
6 この省令において「殺菌山羊乳」とは、直接飲用に供する目的で販売する山羊乳をいう。
7 この省令において「生めん羊乳」とは、搾取したままのめん羊乳をいう。
8 この省令において「生水牛乳」とは、搾取したままの水牛乳をいう。
9 この省令において「成分調整牛乳」とは、生乳から乳脂肪分その他の成分の一部を除去したものをいう。
10 この省令において「低脂肪牛乳」とは、成分調整牛乳であつて、乳脂肪分を除去したもののうち、無脂肪牛乳以外のものをいう。
11 この省令において「無脂肪牛乳」とは、成分調整牛乳であつて、ほとんどすべての乳脂肪分を除去したものをいう。
12 この省令において「加工乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳若しくは生水牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したもの
(成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、発酵乳及び乳酸菌飲料を除く。)をいう。
13 この省令において「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮
乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエ
イパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分三・〇%以上を含むものに
限る。)及び乳飲料をいう。
14 この省令において「クリーム」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいう。
15 この省令において「バター」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳から得られた脂肪粒を練圧したものをいう。
16 この省令において「バターオイル」とは、バター又はクリームからほとんどすべての乳脂肪以外の成分を除去したものをいう。
17 この省令において「チーズ」とは、ナチユラルチーズ及びプロセスチーズをいう。
18 この省令において「ナチユラルチーズ」とは、次のものをいう。
一 乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう。以下同じ。)、クリーム又はこれらを混合したもののほと
んどすべて又は一部のたんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したも

二 前号に掲げるもののほか、乳等を原料として、たんぱく質の凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであつて、同号に掲げる
ものと同様の化学的、物理的及び官能的特性を有するもの
19 この省令において「プロセスチーズ」とは、ナチユラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものをいう。
20 この省令において「濃縮ホエイ」とは、乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清を濃縮し、固形状にし
たものをいう。
21 この省令において「アイスクリーム類」とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結さ
せたものであつて、乳固形分三・〇%以上を含むもの(発酵乳を除く。)をいう。
22 この省令において「アイスクリーム」とは、アイスクリーム類であつてアイスクリームとして販売するものをいう。
23 この省令において「アイスミルク」とは、アイスクリーム類であつてアイスミルクとして販売するものをいう。
24 この省令において「ラクトアイス」とは、アイスクリーム類であつてラクトアイスとして販売するものをいう。
25 この省令において「濃縮乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳を濃縮したものをいう。
26 この省令において「脱脂濃縮乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したものをいう。
27 この省令において「無糖練乳」とは、濃縮乳であつて直接飲用に供する目的で販売するものをいう。
28 この省令において「無糖脱脂練乳」とは、脱脂濃縮乳であつて直接飲用に供する目的で販売するものをいう。
29 この省令において「加糖練乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳にしょ糖を加えて濃縮したものをいう。
30 この省令において「加糖脱脂練乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したものにしょ糖を加えて濃縮した
ものをいう。
31 この省令において「全粉乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳からほとんど全ての水分を除去し、粉末状にしたものをい
う。
32 この省令において「脱脂粉乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんど全ての水分を除去
し、粉末状にしたものをいう。
33 この省令において「クリームパウダー」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分以外の成分を除去したものからほとん
ど全ての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。

※「生乳、生山羊乳など」は「生鮮食品」に該当するため、このページで扱う内容の対象外です。


「名称」は、基本的にはたった1行で終わる表示事項のため、簡単だと思うかもしれません。

しかしながら、実際の表示作成にあたっては、「それっぽい名称」を書けば良いものではありません。

①「別表第3」の定義に合わない食品に「別表第5」の名称を使おうとしていないか、②「別表第4」に掲げられた食品に該当するか・該当する場合その内容に従っているか、③「乳等省令第2条」の定義に従った表示をしているか、等を確認する必要があります。

これらを丸暗記するのは困難だと考えられますので、このような決まり事があることを認識したうえで、作成の都度確認することが重要です。

実務にあたっては、名称を確認することによって食品の区分を決めるプロセスを踏むことも多く、それによって表示内容が変わったり(別表第4)、追加の表示事項が発生したり(別表第19)しますので、食品表示において「名称」は最も重要と言っても過言ではない表示事項になります。
関連ページ:食品表示基準の【別表一覧/別記様式一覧】と【内容】

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「名称」表示の補足事項

以下は、「食品表示基準について」の「名称」関連部分を解説した内容です。

食品の名称は、「その内容を的確に表現し、かつ、社会通念上既に一般化したものを表示」します。

ただし、新製品の場合は、「どのような内容の食品であるかを社会通念上判断できるもの」であれば名称と認められます。

名称中に主要原材料名を冠する場合は、主要原材料と一致させる必要があります。

名称に冠すべき主要な原材料を2種以上混合している場合には、1種類の原材料名のみを冠することは認められません。

「ナス:トマト=7:3」+調味料のような原材料の場合、「トマトの○○」の名称は認められないということになります。
「ナス:トマト=5:5」+調味料のような原材料の場合、「ナスの○○」や「トマトの○○」の名称はいずれも認められないことになります。よって「ナスとトマトの○○」のような名称が考えられます。

「珍味」のような名称は基本的に認められません。

魚介類加工品、菓子、つくだ煮など、様々な区分にまたがるものが「珍味」に該当するためです。

この場合、「珍味たこくん製」等と必ず食品の内容を適切に表わす具体的な名称を表示する必要があります。

ただし、それら(魚介類加工品、菓子、つくだ煮など)を複合したいわゆる「おつまみ」等で、固有の名称もなく、食品の区分も不可能なものに限っては「珍味」の名称が認められます。

※上記の内容に関わらず、食品表示基準「別表第4」において別途、名称の表示方法が規定されている食品については、これらの規定に従って表示します。

「名称」表示に関するQ&A

以下は、「食品表示基準Q&A」の「名称」関連部分を抜粋したものです。
※改正によって番号(加工-7など)が変わる場合がありますので、番号を覚えるのは基本的に無意味です。

(答)
1 食品表示基準第3条第1項の表の名称の規定において、名称は、その内容を表す一般的な名称で表示するよう規定していますので、商品名がその内容を表す一般的な名称であれば名称に使用することは可能です。

2 また、他法令により表示規制のある品目については、当該法令により名称が制限を受けることがあります。

3 名称に括弧を付して商品名を併記することについては、併記することにより名称を誤認させるものでないものであれば、差し支えないものと考えます。

(答)
1 商品名に近接した箇所に一般的な名称を明瞭に表示する場合には、一括表示部分における名称の表示を省略することが可能です。

2 この場合、一般的な名称を商品名に比べて著しく小さく表示するなどの方法は、消費者に誤認を与える可能性があることから認められません。

食品表示Q&A名称イメージ1

(答)
1 黒糖又は黒砂糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいいます。

2 義務表示事項の名称は、その加工食品の一般的な名称を表示することとされているので、単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示できるものは、上記の定義に合致するものだけです。

3 黒糖に粗糖等を加えて加工したものについては、義務表示事項の名称を単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示することはできませんが、純粋な「黒糖」ではないことが分かる名称であれば、黒糖を含む文言を名称(例えば、「加工黒糖」など)として表示することは可能です。

4 また、黒糖を全く使用していない砂糖に「○○黒糖」、「黒糖○○」、「○○黒砂糖」又は「黒砂糖○○」など黒糖(黒砂糖)を含む文言を義務表示事項の名称として表示することは、黒糖が入っているものと誤認させるため、表示できません。

(答)
清涼飲料水の表示と紛らわしい表示となるため不適当です。

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