【食品表示】生鮮食品と加工食品の区分、一般用と業務用の区分とは?

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食品表示基準の9区分(3×3)

食品表示基準では、生鮮食品加工食品か、あるいは添加物かによって、参照すべき条文が異なり、表示方法も変わります。

また、それとは別の区分として、事業者が一般用に販売するか、事業者が業務用に販売するか、事業者以外の者が販売するかによっても、やはり参照すべき条文が異なり、表示方法も変わってきます。

つまり、食品区分と事業者区分(流通区分)の2つの軸のそれぞれ3区分によって、食品表示基準は9区分に分けられています。
※ただし、一般用添加物と業務用添加物の表示は同じ条文の中にまとめて規定されています。

表:区分ごとに参照すべき食品表示基準の条文について

事業者区分\食品区分加工食品生鮮食品添加物
食品関連事業者が
一般用に販売する場合
3条~9条18条~23条29条~31条
食品関連事業者が
業務用に販売する場合
10条~14条24条~28条同上
(29条~31条)
食品関連事業者以外の者
販売する場合
15条~17条29条~31条37条~39条
※販売は、不特定または多数に譲渡する場合を含みます。
※その他、食品表示基準には、総則:1条・2条 雑則:40条・41条があります。
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食品の3区分とは(加工食品/生鮮食品/添加物)

加工食品と生鮮食品の区分について

食品は、加工食品と生鮮食品に分けられます。

収穫したての野菜や水揚げしたばかりの魚が生鮮食品で、クッキー等の焼菓子やカップラーメンが加工食品なのは、問題なくイメージできるかと思います。

問題は、どちらに属すか、その判断が微妙な場合の区分についてです。

加工食品の定義生鮮食品の定義は、それぞれ食品表示基準に規定があります。

一 加工食品 製造又は加工された食品として別表第一に掲げるものをいう。
二 生鮮食品 加工食品及び添加物以外の食品として別表第二に掲げるものをいう。

引用元:食品表示基準 第二条(抜粋)

加工食品の、製造又は加工された食品というのが実はとても大事なキーワードなのですが、別表第一に掲げるもの、別表第二に掲げるものとありますので、まずは別表1と2の全体をザっとで良いので見てみましょう。

食品表示基準の別表1と別表2の見開き

加工食品の一覧を見ると、ずらっと並んだ中に「ビスケット類、みそ、しょうゆ」等、具体的な品目の記載もありますが、注目は次のような記載もあることです。

● こんにゃく、その他1から12までに分類されない農産加工食品
● 18及び19に分類されない水産加工食品
● その他14から16までに分類されない畜産加工食品
● その他21から23までに分類されない加工食品

このように、「その他の加工食品」のような具体性の無い括りで記載されている以上は、この別表だけを見ていても加工食品と生鮮食品の区分はできないということです。

そこで重要になるのが、前述した定義の「加工食品:製造又は加工された食品として別表第一に掲げるものをいう。」という箇所です。

この製造又は加工の概念が重要になります。次の表を見てください。

区分行為定義
生鮮食品選別一定の基準によって仕分け、分類する行為
例:一定の基準によって分別しているリンゴのサイズ分け
生鮮食品調整一定の作為を行うが、新たな属性を付加するまでには至らない行為
例:生産者による収穫後の作業の一環として行われる大豆の乾燥行為
加工食品加工あるものを材料としてその本質は保持させつつ、新たな属性を付加すること
加工食品製造その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出すこと
参考:食品表示基準Q&A

つまり、原料である生鮮食品に対しておこなう行為が、選別や調整どまりであれば生鮮食品のまま、加工や製造に該当する行為であれば加工食品になるということです。

加工か製造かの区分は、加工食品の事業者の事項名(加工者or製造者)を決める時に重要になりますが、それについては今回は一旦置いておいて、生鮮食品加工食品を分ける「調整と加工」の具体例を見てみましょう。

調整と加工の違いは、新たな属性を付加されるかどうかによります。

その具体例も、食品表示基準Q&Aに記載されています。

「加工」の例(加工食品)「調整」の例(生鮮食品)
農産物複数の野菜を切断した上で混
ぜ合わせたもの(サラダミッ
クス、炒め物ミックス)
単品の野菜を単に切断したもの
(カット野菜)
農産物ブランチングした上で冷凍し
た野菜
オゾン水、次亜塩素酸ソーダ
水による殺菌洗浄したもの
農産物ベビーリーフ(複数種類の幼
葉を混ぜ合わせたもの)
畜産物合挽肉複数の部位の食肉を切断した
上で調味せずに一つのパック
に包装したもの
畜産物複数の部位の食肉を切断した
上で調味液につけて一つの
パックに包装したもの
畜産物複数の種類の食肉と野菜を切
断した上で、調味せずに一つ
のパックに盛り合わせたもの
畜産物スパイスをふりかけた食肉
畜産物たたき牛肉
畜産物焼肉のたれを混合した食肉
畜産物パン粉を付けた豚カツ用豚肉
水産物複数の種類の刺身を
盛り合わせたもの
マグロ単品の刺身
水産物尾部(及び殻)のみを短時間
の加熱(ブランチング)によ
り赤変させた大正エビ
マグロ単品の刺身にツマ・大
葉が添えられているもの
水産物短時間の加熱(ブランチング)
を行い殻を開けてむき身を取
り出したアサリ
マグロのキハダとメバチを盛
り合わせたもの
水産物鍋セット赤身とトロを盛り合わせたもの
水産物蒸しダコ身を取り出し、開き、内臓を
除いた上で冷凍した赤貝のむ
き身
水産物塩蔵ワカメを塩抜きしたもの一種類の魚のカマや身アラの
詰め合わせ
出典:食品表示基準Q&A

おおむね、より手が加わる度合いが高い行為が加工に分類されているのが分かるかと思います。

面白いのは、マグロ単品の刺身や、赤身とトロの盛り合わせは生鮮食品に分類され、複数の種類の刺身を盛り合わせたものは加工食品に分類されていることです。

実務者レベルの会話だと同種混合生鮮異種混合加工のような言い方もしますので、覚えておきましょう。

添加物の区分について

添加物の定義は、食品表示法ではなく食品衛生法に規定されています。

○2 この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。

引用元:食品衛生法 第四条(抜粋)

では、どのようなものが添加物に該当するかについてですが、結論から言いますと、それは管轄の保健所に確認してください。

いきなり丸投げで、無責任な発言のようですが、これには理由がありまして。

添加物製造業は食品衛生法に基づく法許可業種の一つとなっており、添加物の表示をどうするか以前に、添加物を製造するためには、管轄の保健所に営業許可の申請をおこない、営業許可を受ける必要があるからです。

営業許可を含め、表示作成前に確認すべき食品安全に関する内容は、以下のページでも紹介しています。

関連ページ:食品表示作成の前に確認すべき大前提とは?

なお、ここで言う添加物は、添加物として販売する場合の許可や表示のことです。

加工食品の製造に添加物を使用する場合の表示については、添加物の章(32条~39条)ではなく、加工食品の章(3条~17条)を見てください。

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事業者の3区分とは(一般用/業務用/食品関連事業者以外)

食品関連事業者の定義

食品関連事業者とは?

文字から意味はなんとなく分かりますが、一応定義を確認しておきましょう。

食品関連事業者の定義は、食品表示基準(内閣府令)ではなく、食品表示法(法律)に規定されています。

関連ページ:【表示作成に入る前に】食品表示法を読むべき

3 この法律において「食品関連事業者等」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一 食品の製造、加工(調整及び選別を含む。)若しくは輸入を業とする者(当該食品の販売をしない者を除く。)又は食品の販売を業とする者(以下「食品関連事業者」という。)
二 前号に掲げる者のほか、食品の販売をする者

引用元:食品表示法 第二条(抜粋)

要約すると、食品表示法には「食品関連事業者」が定義されており、

● 食品関連事業者:食品の製造、加工、輸入、または販売をとする者
● 食品関連事業者以外の者:それ以外で、食品の販売をする者

ということになります。

食品関連事業者以外の者の具体例は、食品表示基準Q&Aにて示されています。

(総則-10)食品関連事業者以外とは具体的にどのような業種を指しますか。複数の具体的な例を挙げて説明してください。
(答)
反復継続性のない販売を行う者を指し、例えば、小学校のバザーで袋詰めのクッキーを販売する保護者や、町内会の祭りで瓶詰めの手作りジャムを販売する町内会の役員等が想定されます。

引用元:食品表示法Q&A

法律とQ&Aをまとめると

● 食品関連事業者以外の者:
食品の販売を業として行っていない者=反復継続性のない販売を行う者。

ということですね。

Q&Aで挙げられている「学校のバザーで袋詰めのクッキーを販売する保護者」、「町内会の祭りで瓶詰めの手作りジャムを販売する町内会の役員」という例は分かりやすいと思います。

バザーや町内会でも食品表示が必要というのは、意外に思われた方もいるのではないでしょうか。

ただし、表示が必要なのは、例に挙がっているような袋詰めや瓶詰めにした場合で、炊き出しなどの場合は不要です。

また、袋詰めにした場合であっても、市販品のような詳しい表示が義務付けられている訳ではありません。

必要な事項は、例えば保存方法やアレルゲンなどの、安全性に重要な影響を及ぼすとされる事項で、栄養成分表示などは義務付けられてはいません。

一般用食品と業務用食品の区分について

食品関連事業者が食品の販売をおこなう場合、一般用と業務用の区分を考える必要があります。

業務用の加工食品、生鮮食品、添加物は、それぞれ食品表示基準に定義が規定されています。

三 業務用加工食品 加工食品のうち、消費者に販売される形態となっているもの以外のものをいう。
四 業務用生鮮食品 生鮮食品のうち、加工食品の原材料となるものをいう。
五 業務用添加物 添加物のうち、消費者に販売される形態となっているもの以外のものをいう。

引用元:食品表示基準 第二条(抜粋)

つまり、一般用の加工食品、生鮮食品、添加物はその反対です。

● 一般用加工食品:加工食品のうち、消費者に販売される形態となっているもの。
● 一般用生鮮食品:生鮮食品のうち、加工食品の原材料とならないもの。
● 一般用添加物:添加物のうち、消費者に販売される形態となっているもの。

ちなみに、一般の消費者が自由に出入りできる業務用スーパーでは、一般用と業務用どちらの食品が販売されているでしょうか。

これはですね、完全に一般用です。

Q&Aでも示されています。

(総則-18)いわゆる業務用スーパーなどで消費者にも販売される可能性のある加工食品は、どのような表示を行えばよいのですか。
(答)
主として業務用の食品として販売されるものであっても、消費者に販売される形態となっており、消費者にも販売される可能性があるものについては、一般用加工食品として表示する必要があります。

引用元:食品表示基準Q&A

一般用と業務用で、容器包装に表示するべき事項を比べると、業務用の方が少なくなっています。

少しテクニカルな話をすると、商社さんや問屋さんを経由する場合などで、流通ルートの全てを把握できないようなケースでは、消費者にも販売される可能性があるということになりますので、一般用の表示をしておくのが無難かと思います。

まとめ

ここまで、食品表示の9区分を見てきました。

食品表示の作成にあたっては、冒頭にも記載した以下の表の区分により、食品表示基準の条文を参照していただければと思います。

事業者区分\食品区分加工食品生鮮食品添加物
食品関連事業者が
一般用に販売する場合
3条~9条18条~23条29条~31条
食品関連事業者が
業務用に販売する場合
10条~14条24条~28条同上
食品関連事業者以外の者
販売する場合
15条~17条29条~31条37条~39条
※販売は、不特定または多数に譲渡する場合を含みます。
※その他、総則:1条・2条 雑則:40条・41条があります。

なお、それぞれの条文とその簡単な内容を一覧にしたページがありますので、よろしければご覧ください。

条文一覧別表一覧をセットで見ていただくと、食品表示基準の全体像が掴めるかと思います。

関連ページ:食品表示基準の【条文一覧】と【内容】
関連ページ:食品表示基準の【別表一覧/別記様式一覧】と【内容】

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