「食品表示検定・上級」の難易度とメリット・食品業界での評価について

上級食品表示診断士のヤマケンと申します。

このページでは、「食品表示検定・上級」を受けようか、受けるべきか迷っている方に向けて、上級試験の概要、難易度、評価、メリットなどについて解説します。

なお、筆者は食品メーカーの品質部門に勤めていて、実際に上級を受験し、合格しています。

資格の総合情報サイトのように綺麗にまとまったページではありませんが、それとはまた違った視点(食品メーカー視点、合格者視点)でのメリットや評価に興味のある方は、ぜひ読んでいってください。

目次のクリックやタップで該当の箇所までジャンプすることもできますので、興味のある項目だけでも読んでもらえたらと思います。目次は画面左(PC)、またはサイドバー(モバイル)にあります。

このページのダイジェスト
  • 上級試験の合格率は15.0%ほどで、2020年までの合格者の累計は898名
  • 食品関連資格のなかでは知名度・評価が高い資格と言える。
  • 上級合格者のみ参加可能な「食品表示活用研究会」には東証一部上場企業社員も多数。
  • 「上級食品表示診断士」と名刺に記載可能。

※勉強方法や出題傾向の分析などは、別のページに載せています。
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・上級の勉強方法

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「食品表示検定・上級」の概要

はじめに、食品表示検定・上級の概要について説明します。

こういった情報は既にご存じ、という方はスキップしてください。
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上級試験の基本情報

第11回上級試験(2021年11月28日)の基本情報です。

試験回次第11回 上級試験
試験日程2021年11月28日(日) 13:30~
申込期間2021年8月26日(木)~10月4日(月)
個人申込のみ:最終日 17:00まで
受験資格:中級食品表示診断士
受験料:21,000円(税込)
対象食の生産、流通、製造等において食品表示のエキスパートとして
業務に活かし、責任を持って作成・指導を行う人材向け
試験内容食品表示全般に対する試験であり、法令、ガイドライン、Q&A等から出題します。
※食品表示に関する法令等の知識に基づき、実際に表示をチェック・作成する能力を問います。
※公正競争規約、条例につき、中級等のテキストでも紹介していない内容
について出題する場合は、試験時に関連文書が資料として配布されます。
試験時間150分間(他に休憩15分、試験ガイダンス・配布・回収等約30~40分)
<前半>基礎知識分野(マークシート式)(45分)
<後半>専門知識分野(記述式)(105分)
※前半と後半の間に15分の休憩をはさみます。各々開始時に10分程度のガイダンスを行い、
試験はガイダンス終了後からとなります。終了時間は試験会場によって若干異なります。
出題形式1.基礎知識分野(35点) 35問 マークシート式

2.専門知識分野
(1)専門知識を有する(15点) 1問 記述式
(2) 表示をチェックできる(20点) 1問 記述式
(3) 表示を作成できる(30点) 2問 記述式
合格基準80点以上が合格(100点満点)
合否結果発表
(ホームページ照会)
2022年1月28日(金)~2022年2月27日(日)
※受験番号で照会します。
合否結果発表まで受験票の保管をお願いします。
合否結果照会ページ
合否結果通知
発送予定
2022年1月28日(金)
※受験者全員の方へ合否結果通知書をご郵送します。
※「受験案内 – 食品表示検定」の記載内容を抜粋・再編集したものです。
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。
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「食品表示検定・上級」の合格率・難易度

上級受験者合格者合格率
累計6,00089815.0%
2020年5089218.1%
2019年6668012.0%
2018年7048512.1%
2017年61211919.4%
2016年5787813.5%
2015年5788114.0%
2014年5499016.4%
2013年5157414.4%
2012年5365610.4%
2011年75414319.0%

食品表示検定・上級の合格率は、高い回で19.4%、低い回で10.4%、2020年試験までの平均では15.0%となっています。

誰でも受けられる試験ではなく、合格率約50%の中級合格者のみが受けられる試験ですので、見かけの合格率以上に難易度の高い試験と言えるかと思います。

そもそもの合格率の低さに加え、年1回のみの試験であること、記述式の試験であること、受験料の高さ等が影響してか、2020年試験までの累計で見ても上級合格者は898名しか出ていません。

なお、2019年後期試験までの中級試験「合格者」の累計31,790名に対して、2020年までの上級試験「受験者」の累計はちょうど6,000名ですので、中級合格から上級受験にチャレンジする人の割合は高く見ても18.9%ほどと考えられます。
(中級・上級とも複数回合格者はほぼおらず、上級の複数回受験者がそれなりにいるものと想定した場合)

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「食品表示検定・上級」の評価・知名度

食品業界内での評価・知名度

食品表示検定は2009年(上級は2011年)にスタートした比較的新しい検定ですが、食品業界(特に加工食品)で既に名の知れた資格だと言って差し支えないと思います。

全ての職種で必要と言うわけではありませんが、食品メーカーで品質管理や品質保証の業務をするなら、食品表示に関する知識の習得は避けては通れません。食品表示の知識があることを測る資格としては、現時点では食品表示検定が最適であり、中級合格者であれば実務レベルの知識がある人と判断できます。

上級を受けるには中級を合格していることが必要で、そのなかで合格率15%ほどの試験ですので、食品表示に関わる仕事をしている人の多くはその難易度は分かっています。

また、メリットの章で後述しますが、上級合格者のみが参加できる「食品表示活用研究会」には、東証一部上場企業や各業界トップ企業の方も多数参加していますので、業界トップの企業の間でも認知・評価されている資格と言えると思います。

なお、知名度があると言っても、あくまでも食品に関連した資格試験に限っての話ですので、食品業界内においてもTOEICや日商簿記などのほうが有名なのは言うまでもありません。

社内(食品メーカー)での評価

社内での評価は、当然ながら会社によってバラバラだと思われますので、ここでは筆者の体験談のみをもとにした話になります。

筆者の環境では、中級までは必須とされていますが、上級は推奨という扱いでした。高額ではないですが、中級の時は出なかった資格手当も貰っています。

食品表示に関する実用性の高い資格ですので、正当に評価されると考えていいと思います。

少なくとも、単なる資格マニアのような扱いをされるということはまず無いとは思います。
※他業界の方が受けた場合は分かりません。また、筆者も業務と無関係のマイナー資格を複数もっていますので、資格マニアの方を悪く言う意図もありません。

転職市場での評価

食品関連の民間資格や検定は、正直なところ資格ビジネスにすぎないようなものも多いのが現状です。

そんななか、食品表示検定は比較的新しい検定試験ではありますが、前述のとおり食品業界では一定の評価を得ており、「正当に評価される・履歴書に書ける」資格だと思われます。


求人サイトを見ると、業務の一部に食品表示関連業務を含んだ「品質部門」の求人では、「中級以上が歓迎要件」となっているのをよく目にします。

また、「食品表示担当者」というピンポイントな求人では、「中級以上が必須要件」となっているのをよく見ます。

この「中級以上」という表現で募集しているケースでは、同じ求人に希望者が複数集まった場合に上級の資格が有利に働くでしょう。

逆に、求人サイトに「上級のみ」を対象にした求人はほぼなく、筆者はほんの数回見た程度です。

「上級」ではなく「中級以上」という表現になるのは、次のような理由だと考えています。

そもそも、上級食品表示診断士自体が累計で1000人にも満たない数しかいません。その中から積極的に転職を考えている人(求人サイトを自ら見る人)がどれだけいて、さらに地域がマッチして、年齢もマッチして、と考えていくと、対象人数は極めて少なくなります。

そうなると、採用側からすると、費用をかけてオープンな求人広告を出しても集まらないどころか見て貰えない可能性すらあります。それよりは成果報酬型で条件に合う人を転職エージェントに探してもらうとか、SNS等から探して直接コンタクトをとるほうが合理的かと思われます。

yamaken
yamaken

実際、筆者にもクローズドのオファーが来たことがあります。(転職エージェントからだけでなく個別の企業からも)

「食品表示検定・上級」のメリット

社内評価や転職に有利に

社内評価や転職でのメリットに関しては、評価・知名度の項にて前述したとおりです。

食品業界では一定の評価を得ており、「正当に評価される・履歴書に書ける」資格ですので、特に品質部門での転職を検討されている方にとってはメリットとなると考えられます。

実生活でのメリット

上級の受験を検討している頃には既に実感されていることも多いかとは思いますが、そもそも「食品」自体が生活に直結しているものですので、実生活でのメリットもあります。ただ実生活でのメリットに関しては、「中級⇒上級」でそこまで変わらないかもしれません。
関連ページ:「食品表示検定・中級」の合格率や評価、メリット

食品表示活用研究会への参加

筆者は現時点で転職する予定がありませんので、この「食品表示活用研究会」への参加が一番のメリットだと感じています。例えば行政が主催する説明会では、その対象となる人が広い分、上級合格者の身からすると内容の99%が既知だったりするのですが、「食品表示活用研究会」では新たな気付きも少なくありません。

食品表示検定・上級に合格した人は、まず自動的に「上級合格者の会」の会員になります。
(任意で退会も可能です)

「上級合格者の会」の中から、希望者が「食品表示活用研究会」に参加するという構造になっています。

「食品表示活用研究会」は更に①「事業者実務部会」、②「専門家との交流部会」、③「消費者部会」という3つの部会に分かれていて、①会員同士で情報交換をしたり、②有識者の講演を聴いたり、③消費者への普及活動をしたりします。各部会が年3回程度、全部会共通の会が年2回程度あります。

「食品表示活用研究会」参加者の属性としては、年齢層は20代から50代以上と幅広く、東証一部上場企業や業界トップクラスの企業の方々も多数参加していて、中には食品表示専門のコンサルの方も。

参加者や講師の方の多くが「クローズドな場だから」という前提で話をされていると思われますので、筆者が見聞きしたことについて、具体的な内容をここに記載するわけにはいきませんが、その道の猛者ばかりなので刺激になります。

なお、公式サイトに数年分の活動報告が載っていますので、興味のある方は以下のリンクを見てみてください。どうでもいいですが、たぶん筆者の後ろ姿も載っています。
(一社)食品表示検定協会>試験結果と合格後のご案内>合格後のご案内


ただ、今のところ東京と大阪(2019年度から)のみでの開催なので、それ以外の地域の方が毎回参加するには地理的なハードルがあるかもしれません。
新型コロナウイルス対策のため、現在は「会場参加/ZOOM参加の選択制」または「ZOOMのみ」で実施されることが多くなっています(部会にもよると思いますが)。

2018年までは東京のみの開催だったため、関西から東京に来られている方が大勢いらっしゃいましたし、九州から毎回飛行機で参加している方もいました。

なお、基本的に平日の昼間に開催されるので、立場や状況によっては会社の理解を得る必要があると思います。

名刺への記載(上級食品表示診断士)

食品表示検定上級の合格証

合格すると郵送されてくる合格証に、「資格:上級食品表示診断士」と書かれています。

これは名刺に記載することもでき、筆者は記載している名刺とそうでない名刺の2種類持っています。

「食品表示活用研究会」で名刺交換させていただいた方々も記載している方が多いです。

「食品表示活用研究会」の場以外では、中級食品表示診断士と名刺に記載された方々には度々お会いしますが、上級食品表示診断士は一人だけで、食品の専門商社の方でした。


余談ですが、筆者はメーカーの人間で、小売チェーンの品質管理の工場監査なんかを受けることがあります。だいたい会議室で最初に名刺交換をしてから、工場を見て回りながらその場で問答、会議室に戻って細かい内容について問答、みたいな流れになります。

防虫防鼠だったり、検便だったりと監査項目は多岐にわたりますが、そのなかで「表示関連の内容についてはほとんど突っ込まれない」ことが多いのは、「上級食品表示診断士」と名刺に書いてあるのが大きいような気はしています。

「表示に関しては多分大丈夫だと思いますので」みたいな感じで終わることが多いです。(「賞味期限の印字ミスを防ぐための仕組み」のような運用面に関する質問はあります。)


中級試験と上級試験の違い

最後に、中級試験と上級試験の違いについてまとめます。

実施⽇程中級:年2回実施(6月頃・11月頃)/上級:年1回実施(11月頃)
受験資格中級:不要/上級:中級合格者のみ
受験料中級:8,500円(税込)/上級:21,000円(税込)
開催地※開催地は年によっても、前期・後期によっても異なりますが、
上級のほうが少ないです。
出題形式
試験時間
中級:マークシート式・90分間
上級
・基礎知識分野(マークシート式・45分)
・専門知識分野(記述式・105分)
認定教材中級:中級テキスト/上級:無し
合格点中級:70点以上/上級: 80点以上
※いずれも100点満点
合格率中級:約50%/上級:約15%

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

受けてみようかなと思った方は、勉強方法や問題例・出題傾向についてのページも見てみてください。
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・上級の勉強方法

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