【食品表示の解説】カズチーの表示

yamaken
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上級食品表示診断士のヤマケンです。

さっそくですが、井原水産(株)さんのカズチーの食品表示を見ていきたいと思います。

2019年にテレビ番組「坂上&指原のつぶれない店(TBS)」で紹介され、話題になった商品です。

銀座のクラブ御用達「岡田かめや」さんという店で人気NO.1のおつまみだそうです。

※筆者および本サイトは、商品のメーカーとは一切関係がありません。最新の情報は、実物の表示やメーカー公式サイト等をご確認ください。

カズチーのアイキャッチ
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カズチーの栄養成分表示

栄養成分表示
(推定値)
単位1袋(7粒)当たり100g当たり
エネルギーkcal81.9296.31
たんぱく質g6.021.71
脂質g5.118.45
炭水化物g3.010.85
食塩相当量g0.93.26
実際の表示当サイト計算
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます

カズチーの栄養成分表示は、1袋(7粒)当たりの単位で表示されていて、エネルギーは81.9kcalでした。

他の商品と比べる場合には100g当たりの数値で見るのが便利だと思いますので、計算したものを表に載せてあります。目安にしていただければと思います。

ちなみに、カズチーには内容量のグラム数の記載がなく、7粒と表示されています。

これをどうやって100g当たりに換算したかについてと、グラム数が記載されていない理由については、以下に記してありますので興味があればご覧ください。

加工食品は、食品表示法によって内容量の表示が義務付けられていますが、○○g、○○mlのように、質量や体積で表示する義務があるかどうかは、計量法で決まっています。

これを密封特定商品と呼んだりするのですが、通常の数の子はこれに該当するためグラム数で表示する必要がありますし、表示された内容量と実際の内容量のズレが大きいと、法律違反になる場合もあります。
カズチーの場合はこの密封特定商品には該当しないという判断なんですね。

で、どうやって計算したかと言いますと、単純に中身を計量しました。

カズチーの内容量の計量

個包装込みで30.00g、食べ終わった後の個包装のみの質量は2.36gでした。
食べ終わった後に個包装に付着した油分も多少はあるかもしれませんが、ごくわずかだと判断し、30.00 – 2.36 = 27.64。
エネルギー、タンパク質等の各数値を27.64で割って、100を掛けたものが、表に記載した100g当たりの数値です。

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カズチーの原材料と添加物

カズチーの裏表示・全体画像

カズチーの原材料表示

カズチーの食品表示
原材料名味付数の子(小麦・大豆を含む、国内製造)、
プロセスチーズ、ゼラチントレハロース、
乳化剤、調味料(有機酸等)、ソルビトール

原材料名欄の「/(スラッシュ)」の前までが原材料です。
※スラッシュ以降は添加物です。後述します。

カズチーはその名のとおり数の子とチーズを合わせた商品ですが、原材料は使用量の多い順に並べる決まりになっていますので、チーズよりも数の子の使用割合のほうが高いことが分かります。

ゼラチンはつなぎとして使われているものと思われます。

カズチーの添加物表示

原材料名味付数の子(小麦・大豆を含む、国内製造)、
プロセスチーズ、ゼラチントレハロース、
乳化剤、調味料(有機酸等)、ソルビトール

原材料名欄のスラッシュ以降が添加物です。

原材料と同じく、使用量の多い順に並んでいます。

トレハロースは、既存添加物と呼ばれる、日本において昔から使われてきた添加物の一つです。
甘味料としてよく使われますが、その場合は「甘味料(トレハロース)」という表示になりますので、カズチーには別の用途として使われていることが分かります。
考えられるところでは、食感を保持したり、保湿をしたりといった役割でしょうか。

乳化剤という表示は、具体的な物質名ではなく、一括名と呼ばれる添加物の表示方法の一つです。グリセリン脂肪酸エステル、リン酸ナトリウムなどが考えられます。
数の子ではなく、プロセスチーズのほうに使われている添加物だと考えれます。
チーズを溶かして再成型したものがプロセスチーズですので、その際にチーズを乳化させてなじませる工程が必要になるためです。

調味料は、甘味、酸味、苦味以外の味付けに使われる添加物です。
基本的には「うま味」だと思っていいと思います。
調味料(有機酸等)という表示は、具体的な物質名ではなく、一括名と呼ばれる添加物の表示方法の一つです。
例えば、クエン酸カルシウムや乳酸ナトリウムなんかが、調味料として使われる有機酸の例として挙げられますね。
調味料には有機酸のほか、アミノ酸や核酸、無機塩といった分類があるのですが、カズチーの調味料には有機酸をメインとしつつ他の分類の調味料も使われているため、「有機酸」という表示になっています。

ソルビトールも、先に紹介したトレハロースのように甘味料としてよく使われますが、やはり、その場合は「甘味料(ソルビトール)」という表示になりますので、カズチーには別の用途として使われていることが分かります。
トレハロースと同様に、食感を保持したり、保湿をしたりといった役割が考えられます。

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カズチーの産地(原産国と原料原産地)

カズチーの原産国表示

カズチーの食品表示

カズチーには「原産国名」の表示がありません。
この場合、製品の原産国が日本ということを意味します。

名称
原材料名
内容量
賞味期限
保存方法
原産国輸入品の場合、ここに国名
輸入者

「原産国名:アメリカ」のような表示はされますが、「原産国名:日本」のような表示はされずに、原産国名の項目そのものを設けないことになります。
ですので、原産国名が無い製品については、国産品ということが分かるわけです。

※ただし、ものすごく小さい商品(表示可能面積が約30cm2以下)の場合は、原産国名の省略が認められているので、輸入品であっても書かれない場合があります。これは、ごく僅かな限られたスペースの中に、アレルギーや賞味期限といった安全性に関わる項目を優先的に表示させるためです。

カズチーの原料の産地表示

原材料名味付数の子(小麦・大豆を含む、国内製造)
プロセスチーズ、ゼラチントレハロース、
乳化剤、調味料(有機酸等)、ソルビトール

2022年4月製造分から、もっとも使用量の多い原料の産地または製造地の表示が義務化されることになっています。
カズチーは既にこの法律に対応されていますね。(2020年6月現在)

この表示から分かることは、まずは、味付数の子の製造地が国内であることです(ニシンの水揚げ地は表示からは分かりません)。

あとは、味付数の子は自社製造したものではなく、別の会社から仕入れていることですね。
なお、別の会社というのは、子会社やグループ会社かもしれませんので、必ずしも無関係の他社を意味するわけではないです。

カズチーの表示のココがポイント!

カズチーの賞味期限印字

袋の裏面の左下に賞味期限が表示されていますが、外袋開封後の推奨保存方法と期限(冷蔵庫で保管し、3日以内)が書いてあるのがポイントです。

密封された商品の場合、賞味期限は未開封の状態を前提とした期限です。

開封後の環境は各ご家庭でバラバラなため、メーカー側としては品質の担保が難しいこともあって具体的な期限を書かないことが多いですが、カズチーの場合は具体的に記載されています。(開封後の期限についての表示義務はありません。)

カズチー自体は(未開封の場合)常温保存が可能な商品ですが、もともと冷蔵品を多く扱われている数の子屋さんならではの気配り、という気がします。

消費者さんへの注意喚起の親切心に加えて、リスク管理の意味もあると思われます。水分値(水分活性)もそこそこありそうですし、開封後に常温だと本当にカビやすいんだと思います。

あらかじめ赤字で袋にプリントしておいて、更に、製造時に賞味期限を印字するのと同時に印字する念の入れようですし。

ここで改めて注意して見て欲しい点が、外袋開封後ということです。

カズチーの賞味期限印字

何を意味するかと言うと、次にこちらの注意事項をご覧ください。

カズチーの注意喚起表示

個包装に穴を開け外袋に脱酸素剤を封入している旨が書いてあります。
実は多くのメーカーの多くの商品が、この方法で中身の品質を保持しています。

脱酸素剤というのは、その名のとおり袋の中の酸素をゼロに(近い)状態にするものです。
細菌やカビの多くは酸素が無い状態では増殖できないため、常温流通の商品ではかなりの頻度で使われています。
『たべられません』と書いてある四角いアレ」でピンと来ますでしょうか。

カズチーの脱酸素剤
カズチーの脱酸素剤接写

コレです。

コレが酸素を吸収してくれます。

もし、個包装が密封されていたらどうなるでしょうか?

個包装の内部の酸素を吸収するには、個包装一つ一つにコレを封入しなければならず、余計なコストも手間もかかって現実的ではありません。

そこで、個包装に穴を開けるかバリア性の無い素材で空気が通る状態にしておいて、外袋を密封するわけです。

カズチーに限らず、肉眼では個包装も密封されているようにしか見えないため、つい長期間放置してしまいがちですが、この方法を採用している商品はとても多いので、外袋を開けたあとはあまり日持ちしないと考えておいた方が安心かもしれません。

※個包装内の空気を抜いて、代わりに不活性ガス(窒素)を入れる方法もあります。この方法だと個包装は密封されますが、脱酸素剤を入れる方法に比べ一般的に酸素濃度は高くなります。

そういうことですので、開封後は指示通り冷蔵庫に入れるか、欲望に任せて食べ切っちゃってください(?)

カズチーの内容量の計量

カズチーは、「かずのこ屋さんが辿りついた、味と食感のHarmony」というキャッチコピーどおり、チーズのコクと数の子のプチプチとした食感がクセになる新感覚のおつまみでした。

実店舗だとカルディや成城石井、コストコでも販売実績があるほか、通販ではamazonや楽天、公式サイトでも購入できます。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

ごちそう様でした。

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