加工食品の表示の見方:添加物表示の基礎知識

yamaken
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上級食品表示診断士のヤマケンです。

添加物表示の基本的な見方を解説していきます。

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添加物が表示されている場所は?

加工食品に使用される添加物は、表示する場所が決められています。
大きく分けて4つの表示レイアウトがありますので、1つ1つ紹介します。

①「原材料名」欄の「/(スラッシュ)」の後ろ

名称
原材料名卵(国産)、砂糖、牛乳/香料、着色料(カラメル)、トレハロース
内容量
賞味期限
保存方法
製造者

流通している食品パッケージには、上のような表や枠が表示されています。
この枠を表示するか、または同じくらい分かりやすい方法で表示することが法律で決められています。
表示する箇所に決まりはないのですが、だいたい裏面にあることが多いです。

その枠内の「原材料名」の中にある「スラッシュ以降」が添加物の表示です。
上の例だと「香料、着色料(カラメル)、トレハロース」ですね。

次に紹介する3つの表示レイアウトに比べて、スラッシュが使われるケースが圧倒的に多いです。

「省スペース」で、「視認性も比較的良い」からだと思います。

②「原材料名」欄の下の「添加物」の欄内

名称
原材料名卵(国産)、砂糖、牛乳
添加物香料、着色料(カラメル)、トレハロース
内容量
賞味期限
保存方法
製造者

このように添加物の欄を設けて表示する方法もあります。

というよりむしろ、この表示レイアウトが基本とされています。

このレイアウトは視認性は凄く良いのですが、スペースを多くとります。

法律で決められた表示内容以外にも、味やブランドの説明だったり、絵や画像だったり、食品メーカーには書きたいことがたくさんあります。

ですが食品パッケージのスペースには限りがあり、また、法律で決められた表示事項は文字の大きさも指定されています(8ポイント以上とされている項目が多いです)。

そのため、書きたいことがなかなか書ききれません。

なので、①の「スラッシュ」のような省スペースな方法が好まれる傾向にあります。

あとは、実際のところ添加物自体の消費者イメージがあまり良くないというのが現状だと思いますので、「添加物」という文字がパッケージに表示されるこのレイアウトを好まないメーカーさんもいるかもしれないですね。

③「原材料名」欄の中で改行

名称
原材料名卵(国産)、砂糖、牛乳
香料、着色料(カラメル)、トレハロース
内容量
賞味期限
保存方法
製造者

原材料名と添加物の間で「改行」して区分する方法も認められています。
個人的には、ちょっと分かりにくい方法かなと思っています。

④「原材料名」欄の中で線で区切って表示

名称
原材料名卵(国産)、砂糖、生乳

香料、着色料(カラメル)、トレハロース
内容量
賞味期限
保存方法
製造者

線がある分、③の改行するだけよりは見やすい方法かと思います。
ただ、あまり見かけることは無いですね。

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添加物の表示方法は?

添加物の表示は、どの物質を使うか、どのような用途で使うかによって、表示方法が変わります。
大きく分けて3つの表示方法がありますので、紹介していきます。

①物質名を表示する

単に添加物の物質名をそのまま表示する方法で、添加物表示における基本的な表示方法です。

保湿や食感保持の用途で使われる「D―ソルビトール」なんかが代表例かと思います。

次に紹介する②や③に当てはらまない用途で使用される場合に、単に物質名で表示されるケースが多いです。

なお、物質によっては、「別名や簡略名または類別名」といったものが定められていて、例えば「D―ソルビトール」の場合は「ソルビトール」や、「ソルビット」という表示も認められています。

②用途名(物質名)の形で表示する

添加物を、次の表の左列の用途名の定義に該当する用途で使用する場合、用途名を併記する必要があります。

用途名添加物の例表示例
甘味料スクラロース甘味料(スクラロース)
着色料カラメル着色料(カラメル)
保存料ソルビン酸保存料(ソルビン酸)
増粘剤・安定剤・
ゲル化剤又は糊料
グァーガム増粘剤(グァーガム)
酸化防止剤ビタミンC酸化防止剤(ビタミンC)
発色剤亜硝酸Na発色剤(亜硝酸Na)
漂白剤二酸化硫黄漂白剤(二酸化硫黄)
防カビ剤(防ばい剤)イマザリル防カビ剤(イマザリル)
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます

右列のように、用途名(物質名)用途名(別名、簡略名または類別名)のような形で表示します。

表の中央列に挙げた物質は、あくまでも一例にすぎません。

どのような物質であっても、上記の用途の添加物として使用する場合には用途名の併記が必要になります。

なお、用途名併記の例外もいくつかあります。
例えば赤色2号の場合、着色料(赤色2号)の着色料を省略し、単に「赤色2号」として表示できる、といったような例外です。
「色」の文字を含んでいて、着色料であることが分かるためです。

③一括名で表示する

使用する添加物が、下記の表の左列の一括名に該当する場合、物質名に代えて一括名でまとめて表示することができます。

一括名添加物の例表示例
イーストフード塩化アンモニウム
炭酸カルシウム
イーストフード
ガムベースエステルガム
グリセリン脂肪酸エステル
ガムベース
かんすい炭酸カリウム(無水)
炭酸ナトリウム
かんすい
苦味料ホップ
カフェイン
苦味料
酵素アスパラギナーゼ
プシコースエピメラーゼ
酵素
光沢剤パラフィン
ミツロウ
光沢剤
香料酢酸エチル
ローズマリー
香料又は合成香料
酸味料クエン酸
酢酸ナトリウム
酸味料
チューインガム軟化剤グリセリン
プロピレングリコール
軟化剤
調味料グルタミン酸ナトリウム
コハク酸
調味料(アミノ酸)、調味料(アミノ酸等)、
調味料(核酸)、調味料(核酸等)、
調味料(有機酸)、調味料(有機酸等)、
調味料(無機塩)又は調味料(無機塩等)
豆腐用凝固剤塩化カルシウム
塩化マグネシウム
豆腐用凝固剤又は凝固剤
乳化剤グリセリン脂肪酸エステル
レシチン
乳化剤
水素イオン濃度調整剤クエン酸
酢酸ナトリウム
水素イオン濃度調整剤又は pH調整剤
膨脹剤アジピン酸
グルコノデルタラクトン
膨脹剤、膨張剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます

表の中央列に挙げた物質は一例にすぎませんが、一括名の定義と一括名を用いることができる添加物の範囲が、消費者庁の通知で定められています。

チューインガム軟化剤を例にとると、次のような定義および添加物の範囲です。

定義チューインガムを柔軟に保つために使用する添加物及びその製剤
一括名(表示)軟化剤
添加物の範囲以下の添加物をチューインガム軟化剤としての目的で使用する場合

グリセリン、プロピレングリコール、D-ソルビトール
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます

つまり、この3つ(グリセリン、プロピレングリコール、D-ソルビトール)を全て使用していたとしても、「軟化剤」の表示だけで済むことになります。

また、この3つ(グリセリン、プロピレングリコール、D-ソルビトール)の添加物以外では、軟化剤の一括名で表示することはできません。

なお、これらは、あくまでも一括名で表示できるということであって、これらの用途で使用した場合に必ずしも一括名で表示しなければならない訳ではありません。
①のように、単に物質名で表示することも可能です。

一括名は、添加物の範囲が定められており、必ず一括名で表示しなければならない訳ではない。
用途名は、添加物の範囲は定められておらず、必ず用途名を併記して表示しなければならない。

考え方が全く逆になりますので注意してください。

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表示が免除される場合がある?

以下の場合は、添加物の表示は免除されます。

栄養強化栄養強化の目的で使用されるもの
加工助剤以下のいずれかに該当する場合をいう

・当該食品の完成前に除去されるもの
・当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの
・当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの
キャリーオーバー以下の全ての条件に当てはまる場合をいう

・食品の原材料の製造又は加工の過程において使用される
・当該食品の製造又は加工の過程において使用されない
・当該食品中には当該添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていない
※見切れている場合、左右にスワイプ(スクロール)できます

「添加物が入ってるのに、書かれてないの!?」

と、気にされる方はすごく多いだろうと思います。

食品添加物はインパクトがあるテーマで、良く言えば消費者の関心が深い、悪く言えば不安を煽りやすいこともあってか、週刊誌や各種サイトでもセンセーショナルに取り上げられることが多いと感じています。

ただ、もともと食品に含まれている成分であったり、ごく微量であったりするものですので、個人的な意見ではありますが、これらはほとんど気にしないで良いと考えています。

筆者はメーカー側の人間であると同時に、他社メーカーさんの商品を食べる時は消費者の一人でもありますが、消費者としての立場で考えた時に、普段の食生活でこれらを気にしたことは特にありません。

なお、キャリオーバーや加工助剤に該当する場合、添加物表示の省略こそ可能ではあるものの、無添加添加物は使用していませんといった表現は使えません。

逆に言えば、そのような表現がある商品は、(意図的な、あるいは知識不足による表示違反が無い限りは)キャリーオーバー等を含めて添加物を一切使っていないということになりますので、どうしても気になるという方は、そういった商品を探されると良いかもしれません。

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