セレウス菌食中毒の特徴と事例一覧

和名セレウス菌
学名Bacillus cereus
特徴●熱に強い(芽胞をつくる)。
●土壌中や環境に広く分布する。
●嘔吐型と下痢型があり、日本では嘔吐型食中毒が多く発生。
●増殖温度:10~50℃(至適温度:28~35℃)
潜伏期間●嘔吐型:0.5~6時間
●下痢型:8~16時間
症状※嘔吐型と下痢型がある。
●嘔吐型:吐き気、嘔吐、腹痛
(嘔吐型は、黄色ブドウ球菌食中毒の症状と類似)
●下痢型:下痢、腹痛。通常は1~2日で回復する。
汚染源土壌、畜産物、水産物、農作物
(特に、米や小麦など穀類の汚染率が高い)
原因食品●穀類を用いた食品(チャーハン、オムライス、ピラフ、パスタ類など)
●複合調理食品(弁当類、調理パンなど)、肉類、野菜類、乳製品など
発症菌量10万個以上
予防の
ポイント
●前日調理を避ける。
●加熱調理後に保存する場合は、
急冷後に冷蔵保存するか、55℃以上を保つようにする。
(加熱しても死なずに残る菌があることを念頭におく)
(菌の増殖温度である10~50℃を避けて保管する)
●一度に大量に加熱調理した後保存する場合は、
小分けして空気に触れる機会を多くする。
(酸素が無い時に増殖するため)
<参考文献>
食品安全委員会, ファクトシート《作成日:平成23年11月24日》
・一般社団法人東京都食品衛生協会, 食品衛生責任者教本‐東京都福祉保健局監修‐ 第37版
・公益社団法人神奈川県食品衛生協会, 食品衛生責任者テキスト 第8版
一色賢司 (監修)/ 一般社団法人食品安全検定協会 (編集), 食品安全検定テキスト 中級 第2版

「食品安全検定 中級」は、HACCPや食中毒の事例問題等が出題される試験です。
関連ページ:「食品安全検定・中級」の合格率や評価、メリット
関連ページ:【合格者が語る】食品安全検定・中級の勉強方法

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セレウス菌食中毒の発生状況

年次推移(発生件数/患者数/死者数)

年\項目件数(件)患者数(人)死者数(人)
2010年15155
2011年10122
2012年24
2013年898
2014年644
2015年695
2016年9125
2017年538
2018年886
2019年6229
出典:『食中毒統計資料 |厚生労働省』のデータを当サイトで加工編集
年\項目件数(件)患者数(人)死者数(人)
直近10年平均7.599.60.0
直近5年平均6.8114.60.0

直近10年でセレウス菌食中毒による死者は報告されておらず、発生件数はわずかながら減少傾向で推移していますが、2019年には大規模なセレウス菌食中毒が発生し、患者数は前年比で3倍ほどとなっています。

月別状況(発生件数/患者数)

月別発生件数(件)

月\年5年平均2015年2016年2017年2018年2019年
1月0.0
2月0.0
3月0.0
4月0.0
5月0.21
6月0.612
7月1.622112
8月1.411113
9月1.81422
10月0.6111
11月0.411
12月0.21

月別患者数(人)

月\年5年平均2015年2016年2017年2018年2019年
1月0.0
2月0.0
3月0.0
4月0.0
5月1.05
6月4.21011
7月45.02113214175
8月9.6345234
9月21.83372643
10月10.226520
11月10.64211
12月12.261

セレウス菌食中毒の発生件数と患者数には季節性が見られ、冬場に少なく夏場に多い傾向が見られます。

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セレウス菌食中毒の事例

以下に掲載する事例は、『食中毒統計資料 |厚生労働省』で公表されている食中毒事例より、「病因物質がセレウス菌の事例」を抜粋して掲載したものです。

食中毒事例(2019年)

2019年のセレウス菌食中毒について
  • 2019年は、7月、北海道の製造所にて、「味付けおから」を原因食品とする大規模なセレウス菌食中毒が報告されています(患者数147名)。
発生月日発生場所原因施設摂食
者数
患者
死者
原因食品
07月02日北海道製造所不明1470味付けおから
07月11日大阪府事業場
-給食施設
-老人ホーム
96280卯の花の炒り煮(7月11日に提供された食事)
08月05日神奈川県家庭2620行事で調理され持ち帰って家庭で喫食した焼きそば
08月07日鹿児島県その他482208月7日朝に喫食した米飯
08月09日静岡県飲食店50100雑穀米
10月05日東京都飲食店35200令和元年10月5日に調理・提供した弁当

食中毒事例(2018年)

2018年のセレウス菌食中毒について
  • 2018年は、9月、岩手県の保育所にて、「おからナゲット」を原因食品とする大規模なセレウス菌食中毒が報告されています(患者数39名)。
  • また、「チャーハン」を原因食品とする事例が3件報告されています。
発生月日発生場所原因施設摂食
者数
患者
死者
原因食品
06月01日島根県飲食店不明80チャーハン
06月25日千葉県飲食店330不明(6月25日に調理、提供した食事)
07月07日福島県飲食店不明1407月7日に提供されたチャーハン
08月30日長崎県飲食店420トルコライス
09月11日岩手県事業場
-給食施設
-保育所
94390おからナゲット
09月13日高知県家庭440不明
10月14日神奈川県事業場
-給食施設
-事業所等
550平成30年10月14日に原因施設で提供された食事(栗ご飯、豚汁、キウイフルーツ)
11月15日宮崎県飲食店12110あんかけ焼きそば及びチャーハン

食中毒事例(2017年)

発生月日発生場所原因施設摂食
者数
患者
死者
原因食品
05月12日兵庫県飲食店不明50不明(5月12日に当該施設で提供された食事)
07月19日東京都飲食店320不明(チャーハンを含む会食料理)
08月31日大阪府飲食店550不明(日替定食)
09月03日群馬県飲食店8709月3日(日)の昼に当該飲食店で提供された食事
09月12日山梨県仕出屋1851909月12日早朝に製造した弁当

食中毒事例(2016年)

2016年のセレウス菌食中毒について
  • 2016年は、12月、京都府の製造所にて、「赤飯」を原因食品とする大規模なセレウス菌食中毒が報告されています(患者数61名)。
発生月日発生場所原因施設摂食
者数
患者
死者
原因食品
06月23日岡山県仕出屋15100不明(仕出し弁当)
07月09日茨城県事業場-寄宿舎6407月9日に提供されたチャーハン
07月29日広島県飲食店990不明(7月29日提供のイタリア料理)
08月14日熊本県飲食店7408月14日に提供された食事
09月05日山形県学校-給食施設-その他96120不明(施設で提供した食事)
09月10日埼玉県飲食店990あんかけ焼きそば
09月13日福岡県飲食店1290エビピラフ
09月16日北海道仕出屋17870赤飯
12月17日京都府製造所86610赤飯

食中毒事例(2015年)

2015年のセレウス菌食中毒について
  • 2015年は、11月、群馬県にて、「ケバブ」を原因食品とする大規模なセレウス菌食中毒が報告されています(患者数42名)。
発生月日発生場所原因施設摂食
者数
患者
死者
原因食品
07月23日東京都仕出屋33507月23日(木)に提供された弁当
07月29日神奈川県飲食店22160不明(7月29日調製の弁当)
08月26日奈良県飲食店830焼きめし
09月02日東京都飲食店330黒チャーハンセット
10月07日福岡県飲食店不明260不明(平成27年10月7日に提供した食事)
11月07日群馬県その他7342011月7日に提供した料理(ケバブ
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