「魚卵」は、文字通り魚の卵です。

魚の卵の種類というと、つまり魚種の数だけ存在しますので、このページでは一般に「食用とされる魚卵」についてリストアップしました。卵巣ごと、または卵をバラした状態で利用される食品を挙げています。
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食用とされる魚卵の種類一覧
イクラ・すじこ|サケの卵

「イクラ」と「すじこ(筋子)」は、どちらもサケ(鮭)の卵で、その違いはバラしてあるかどうかです。
- 筋子は、鮭の卵巣を取り出し、塩漬けや醤油漬けにしたもの。
- イクラは、卵巣を取り出し、卵巣膜を取り除き、塩漬けや醤油漬けにしたもの。
日本では、サケは約91%が北海道で漁獲されています(2019年,農林水産省統計)。
関連ページ:【都道府県】サケ(鮭)の産地・漁獲量ランキング
ますこ|マスの卵
「ますこ」は、マス(鱒)の卵で、鱒イクラとも呼ばれます。鮭のイクラよりも小粒で、価格はリーズナブル。ヨーロッパでは、レッドキャビアやフレンチキャビアと呼ばれることもあります。
サケと同じくマス漁獲量の国内1位も北海道で、そのシェアは約90%です(2019年,農林水産省統計)。
関連ページ:【都道府県】マス(鱒)の産地・漁獲量ランキング
キャビア|チョウザメの卵

「キャビア」は、世界三大珍味の一つで、チョウザメの卵です。
チョウザメは「サメ」という名が付いていますが、実はサメ(鮫)の仲間ではありません。
チョウザメの種によって、「ベルーガ」「オシェトラ」など、キャビアだけでも様々な種類があります。また、高級食材ということもあり、他の魚の卵を使ったイミテーションキャビア(キャビア模造品)も多数存在しています。
関連ページ:キャビアの種類一覧
かずのこ|ニシンの卵
「かずのこ(数の子)」は、ニシン(鰊)の卵巣の加工品で、天日干しや塩漬けの他、味付けの数の子も出回っています。ニシンは、日本ではほとんど(約99.7%)が北海道で漁獲されます。
おせち料理等でお馴染みの数の子ですが、かつては高級食材の一つで、「黄色いダイヤ」とも呼ばれていました。
関連ページ:食品の別名・異名のまとめ【パターン別】
たらこ|タラの卵
「たらこ」は、タラ(鱈)の卵巣、またはその加工品のことです。塩漬けにしたり、それを焼いて焼きタラコにしたりします。
一般的には、タラの中でも「スケトウダラ」の卵が使われます。なお、日本のスケトウダラ漁獲量は、北海道が1位で約95%を占め、岩手県、宮城県と続いています。
関連ページ:【都道府県】スケトウダラの産地・漁獲量ランキング
唐辛子で漬け込んだものは「辛子明太子」と呼ばれ、日本においては主に福岡県のメーカーが製造販売しています。
とびこ|トビウオの卵
「とびこ(とびっこ)」は、トビウオ(飛び魚)の卵です。
小粒で膜が厚く「プチプチ」とした食感を楽しめるのが特徴で、主に寿司ネタとして利用され、軍艦巻きにして提供されます。
からすみ|ボラの卵
「からすみ」は、ボラ(鰡)の卵巣の加工品で、塩漬け・塩抜き・天日乾燥を経て作られます。
ウニ、コノワタとともに日本の三大珍味に数えられている高級品で、長崎県の名物となっています。
ボッタルガ|ボラ・マグロの卵
「ボッタルガ」は、イタリア等で作られるカラスミの一種で、ボラの卵やマグロ(鮪)の卵が使用されます。マグロの卵は、その大きな魚体からは想像もできないほど、小さい卵です。
ぶりこ|ハタハタの卵
「ぶりこ」は、その名前からブリ(鰤)の卵のように思えますが、秋田県の名物で県魚にも指定されている「ハタハタ」という魚の卵です。
秋田県では、同じくハタハタを原料とする「しょっつる」という魚醤も作られており、これは日本三大魚醤の一つに数えられています。
なお、実は秋田県のハタハタ漁獲量は全国3位で、鳥取県と兵庫県(日本海側)がより上位につけています。
関連ページ:【都道府県】ハタハタの産地・漁獲量ランキング
黄金いくら|ヤマメの卵
「黄金いくら」は、ヤマメ(山女魚)の卵です。
その名の通り形はイクラに良く似ており、黄色に輝く美しい見た目をしています。
その他の魚卵
その他、丸焼きで食べられる「ししゃも」や、煮付けにして食べられる「ヒラメ・カレイ」など、魚卵単体で流通することは稀で、主に魚体と一緒に提供される魚卵も数多くあります。
魚卵に似た食品
ここからは、魚類ではない魚介類の卵巣や、魚類の精巣など、魚卵に類似した食品を挙げていきます。
白子|魚類の精巣
「白子(しらこ)」は、魚類の精巣のことを言い、フグやタラ等の精巣が良く利用されます。
フグの体にはテトロドトキシン(猛毒)が蓄積されるため、「種ごと・部位ごと・地域ごと」に、食用にして良いかどうかが細かく定められています。白子、つまり精巣には毒を持たない種が比較的多いため、「フグ=白子」のイメージを持っている方も多いかもしれません。
ウニ|ウニの精巣または卵巣
「ウニ」は、棘皮(きょくひ)動物と言い、ヒトデやナマコの仲間です。普段私たちが食べているウニは、ウニの生殖巣(精巣または卵巣)に当たる部分です。
たこまんま|ヤナギダコの卵
「たこまんま」は、「ヤナギダコ」の卵巣で、北海道の特産品です。イクラと同様、醤油漬けにして食べられます。
魚卵の豆知識
魚の卵は英語で「egg」ではなく「roe」
salmon roe(すじこ)、herring roe(かずのこ)のように使われます。
魚卵の「プリン体」は高い?低い?
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(2019年改訂)』によれば、プリン体を100g当たり200mg以上含む食品が「高プリン食」とされています。また、100g当たり300mg以上含む場合、プリン体が「極めて多い」食品とされます。
食品・飲料中のプリン体含有量(公益財団法人 痛風・尿酸財団)によると、例えば、「イサキ白子」のプリン体は305.5mg/100gで、「極めて多い」食品となります。
しかしながら、ウニ(137.3mg/100g)や、タラコ(120.7mg/100g)、明太子(159.3mg・100g)は、高プリン食の基準に達していません。
また、カズノコ(21.9mg/100g)、スジコ(15.7mg/100g)、イクラ(3.7mg/100)に関しては、むしろプリン体が「極めて少ない」食品に該当します。
まとめると、魚卵類似食品については高プリン食があるものの、純粋な魚卵はむしろプリン体の低い食品と言えるでしょう。
なお、鳥の卵である鶏卵・うずら卵もプリン体が極めて少ない食品です。
(いずれも0.0mg/100g)
高コレステロール
魚卵や鶏卵は、プリン体については低いですが、コレステロールについては高い食品です。下の表は、魚卵とウニの他に、比較対象として鶏卵・魚肉・海老・牛肉を掲載したものです。
食品 | 熱量 (kcal) | 水分 (g) | たんぱ く質 (g) | 脂質 (g) | コレステ ロール (mg) | 炭水 化物 (g) | 食塩 相当量 (g) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
イクラ | 272 | 48.4 | 32.6 | 15.6 | 480 | 0.2 | 2.3 |
カズノコ | 89 | 80 | 15 | 3 | 230 | 0.6 | 1.2 |
キャビア | 263 | 51 | 26.2 | 17.1 | 500 | 1.1 | 4.1 |
ウニ | 120 | 73.8 | 16 | 4.8 | 290 | 3.3 | 0.6 |
鶏卵 | 151 | 76.1 | 12.3 | 10.3 | 420 | 0.3 | 0.4 |
くろかじき | 99 | 75.6 | 22.9 | 0.2 | 48 | 0.1 | 0.2 |
くるまえび | 97 | 76.1 | 21.6 | 0.6 | 170 | Tr | 0.4 |
牛もも肉 | 259 | 61.2 | 19.2 | 18.7 | 75 | 0.5 | 0.1 |
※魚介類/(さけ・ます類)/しろさけ/イクラ
※魚介類/にしん/かずのこ/塩蔵、水戻し
※魚介類/キャビア/塩蔵品
※魚介類/うに/生うに
※鶏卵 全卵 生
※魚介類/(かじき類)/くろかじき/生
※魚介類/(えび類)/くるまえび/養殖、生
※肉類/うし/[和牛肉]/もも/脂身つき、生
塩分が高い(塩蔵品の場合)
これは魚卵そのものと言うよりも塩蔵品や醤油漬け食品の特徴ですが、当然ながら塩分は高くなります。魚卵は塩漬けにして流通することが多いため、特徴として挙げました。
ただ、魚卵は日常的に大量に摂取されるケースはあまり多くはないと思いますので、コレステロールにしても塩分にしても、食べ過ぎなければ気にしすぎることも無いとは思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。