ナッツの定義についての概要
ナッツの定義はなかなか難しいのですが、狭い意味では、植物学上の果実の分類である「堅果」のみがナッツに該当します。(「堅果」のことを、英語で「nut」と言います)
「堅果」は、一般的なフルーツの「果肉」にあたる部分が堅い皮のようになっている作りの果実のことです。堅果の代表例としては、ヘーゼルナッツや栗、シイの実などのドングリが挙げられます。
このような植物学上の意味で言えば、堅果ではないもの、つまり一般的にナッツと呼ばれるアーモンドやカシューナッツなども、厳密にはナッツではないものに該当します。
とはいっても、基本的には、植物学上の狭義の定義にとらわれず、「人が食用とする木の実(樹木の種子)」全般をナッツと呼ぶことが多いと思われ、これが一般的なイメージにも実態にも近い定義だと考えられます。
ナッツの定義については、次のページで詳しく解説・考察しています。
関連ページ:ナッツの定義についての考察
このページでは、「食品としてのナッツ」の定義を「人が食用とする木の実(樹木の種子)」としたうえで、この定義からも外れる食品をタイプ別に一覧にしています。
※ナッツの一覧はこちら
関連ページ:ナッツの種類一覧【木の実】
ナッツの名がつくもの
ピーナッツ(落花生)
「落花生」は、見た目も食感もナッツに良く似ていますが、じつはナッツではありません。マメ科植物の種子で、木の実ではなく畑で栽培される「豆類」に属します。
「そんなの常識だよ」という方もいれば、特に意識したことがなく、「言われてみれば」という方もいるのではないでしょうか。
英語ではピーナッツと言いますが、イギリス英語ではグラウンドナッツと言うこともあるそうです。
peanut(豆ナッツ)に、groundnut(地のナッツ)。日本だけではなく、各地でナッツのような食品として扱われていることが伺えます。
ちなみに、落花生を世界一生産している国は中国で、インド、ナイジェリアと続いています(2019年産)。
【関連ページ】:落花生(ピーナッツ)の産地・生産量ランキング【世界】
タイガーナッツ
「タイガーナッツ」は、ショクヨウガヤツリという植物の塊茎(養分を蓄え肥大した地下茎)で、木の実ではありません。他の「塊茎」の例としては、「じゃがいも」がイメージしやすいでしょうか。
タイガーナッツを長年輸入販売されてきた業者さんもいらっしゃいますが、日本で一般に知られるようになり始めたのは、ここ数年のスーパーフードブームで、その一つとして注目が集まったことが大きいものと考えられます。
バターナッツ
「バターナッツ(バターナッツ・スクワッシュ)」は、カボチャの一種です。
一般には果肉を食用とし、単に「バターナッツ」と言った場合も果肉のほうを指しますが、種子も食べることは出来るようです。
ミックスナッツに入れられがち/ナッツメーカーが扱いがち
ナッツではない食材で、「ミックスナッツ」に入れられたり、ナッツメーカーが販売していたりするものがあります。
その代表格は、前述した「落花生(ピーナッツ)」です。
千葉県や茨城県で栽培される国産落花生は高価ですが、輸入品(中国産、アメリカ産など)の落花生は各種ナッツと比べて安価で、味にインパクトもあることから、ミックスナッツによく採用されています。
【ミックスナッツ詳細ページ】
ミックスナッツの違いと選び方|8タイプに分類・比較
同じような理由で、次のような食材も、ミックスナッツに入れられることがあります。
ジャイアントコーン
「ジャイアントコーン」は、ペルーのクスコ県の特産物で、ひと粒が2センチほどの大きいトウモロコシです。
乾燥後に油で揚げた「フライドジャイアントコーン」の状態でミックスナッツに入れられます。
「フライドジャイアントコーン」は、かなり歯応えのあるカリッとした食感の食品ですので、これの有り無しでミックスナッツの印象がかなり変わります。
私自身は、当初はミックスナッツにジャイアントコーンが入っているのは違和感があって正直受け付けなかったのですが、最近は「これはこれでアリ」と思うようになりました。
ちなみに、ジャイアントコーンは爆裂種(ポップ種)のトウモロコシではないためポップコーンにはなりませんが、「膨化(ぼうか)」させると「ポン菓子」の一種になります。一般にはポリコーン(坂金製菓株式会社の登録商標)と言われることが多いと思います。
ヒヨコ豆(ガルバンソー)
「ヒヨコ豆」は、エスニック系のカレーやスープに使われることが多いですが、ミックスナッツにも稀に採用されます。
スペイン語のGarbanzoから、ガルバンゾーまたはカルバンソーとも呼ばれます。
ヒヨコ豆の生産量世界一はインドで、約7割の世界シェアを占めています(2019年産)
【関連ページ】:ヒヨコ豆(ガルバンゾー)の産地・生産量ランキング【世界】
レンズ豆(レンティル)
「レンズ豆」も、カレーやスープに使われるほか、ミックスナッツにも稀に採用されます。
レンズ豆の生産量世界一はカナダで、インド、オーストラリアと続いています(2019年産)
【関連ページ】:レンズ豆(レンティス)の産地・生産量ランキング【世界】
かぼちゃの種(パンプキンシード)
かぼちゃの種(パンプキンシード)は、メキシコ料理の一般的な食材です。
ミックスナッツに入れられること自体は稀ですが、ナッツメーカーの多くが扱っていて、製菓材料としても使用されています。
ひまわりの種(サンフラワーシード)
かぼちゃの種(パンプキンシード)も、ナッツメーカーの多くが扱っている食材です。
ローストまたはフライにしてスナックとして食べられるほか、稀にミックスナッツやシリアルに入れられる場合もあります。
サンフラワーシードは主にロシアとウクライナで生産されています(2019年産)
【関連ページ】:サンフラワーシード(ヒマワリの種)の産地・生産量ランキング【世界】
その他
その他、以下のような加工品・お菓子もミックスナッツに入っていることがあります。
- フライビーンズ(そら豆を油で揚げた豆菓子。イカリ豆、花豆とも呼ばれる。)
- スナックピー(落花生を衣で包んて揚げたサクサク食感の豆菓子。)
- クラッカー(ビスケットの一種。)
- おかき等の米菓
「××の実」と呼ばれるもの
「××の実」の名で呼ばれるものは、「栃の実」や「松の実」のようにナッツに分類されるものもあれば、そうでないものもあります。
クコ(枸杞)の実/ゴジベリー
「クコの実」は落葉低木の果実で、果肉ごと食用とされますので、どちらかと言うとフルーツに該当します。
英名をゴジベリーやウルフベリーと言います。
漢方や中華料理等のお店では「クコ(枸杞)の実」の名前で、ドライフルーツ等のお店では「ゴジベリー」の名前で流通することが多い印象です。
ヒシ(菱)の実
「ヒシの実」は、湖沼に生える水草の種子です。
このページでは食品としてのナッツの定義を「人が食用とする木の実(樹木の種子)」としていますので、こちらに分類しています。ただ、おそらく堅果(このページの冒頭参照)だと思われますので、むしろ狭義のナッツには該当するかもしれません。
樹木の種子でナッツ扱いされないもの
カカオ豆
チョコレートの原料として知られる「カカオ豆」は、アオイ科の常緑樹カカオノキの種子です。
樹木の種子ですが一般にナッツとしては扱われません。また、マメ科でないにも関わらず、世界的に「豆」として扱われています(cacao bean / cocoa bean)。
カカオ豆の生産量世界一はコートジボワールで、世界シェア約4割を占めています(2019年産)
【関連ページ】:カカオ豆の産地・生産量ランキング【世界】
コーヒー豆
「コーヒー豆」は、コーヒーノキ(アカネ科コーヒーノキ属の総称)の種子です。
カカオ豆と同様に、樹木の種子ですが一般にナッツとしては扱われません。また、マメ科でないにも関わらず、世界的に「豆」として扱われています(coffee bean)。
コーヒー豆生産量の世界一はブラジルで、ベトナム、コロンビアと続いています(2019年産)
【関連ページ】:コーヒー豆の産地・生産量ランキング【世界】
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。