「食品表示検定・中級」の試験内容(概要)
食品表示検定の中級と上級に合格しているヤマケンと申します。
やや長いページですが、中級受験者に有益な内容を書いたつもりですので、お付き合いください。
なお、目次のクリックやタップで該当の箇所までジャンプすることもできます。目次は画面左(PC)、またはサイドバー(モバイル)にあります。
※セミナー参加なし、過去問入手なし、独学を前提としています。
※「食品表示検定協会のホームページにて公開されている情報」と、「中級テキスト」のみで勉強する方法を書いています。
※勉強方法以外の内容(メリットや知名度など)は、別のページに載せています。
関連ページ:「食品表示検定・中級」の合格率とメリット・食品業界での評価について
関連ページ:食品表示検定とは?|合格者目線・メーカー目線で解説
第24回 中級試験(2021年11月21日)の基本情報です。
試験回次 | 第24回 中級試験 |
試験日程 | 2021年11月21日(日) 14:30~ |
申込期間(予定) | 2021年8月23日(月)~ 団体申込期限:9月15日(水) 個人申込期限:9月22日(水) ※ 最終日 17:00まで |
受験資格: | 不要 |
受験料: | 8,500円(税込) |
対象 | 生産、製造、流通等において、食品表示の専門的な 知識を得て業務に活かす必要のある人材向け |
試験内容 | 改訂7版・食品表示検定 認定テキスト・中級からの基礎知識と、 それを理解したうえでの応用力を問います。 ※改訂7版中級認定テキストは2021年1月発行。 |
試験時間 | 90分間 ※開始時に10分程度のガイダンスを行い、 試験はガイダンス終了後からの90分となります。 |
出題形式 | マークシート式による選択問題(全100問) |
合格基準 | 70点以上が合格(100点満点) |
合否結果発表 (ホームページ照会) | 2021年12月8日(水)~2022年1月7日(金) ※受験番号で照会します。 合否結果発表まで受験票の保管をお願いします。 合否結果照会ページ |
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。
「認定テキスト・中級からの基礎知識と、それを理解したうえでの応用力を問う」ことが書かれていますので、認定テキストの学習は必須と言えると思います。
※次回2021年11月の中級試験(第23回)は、2021年1月19日発行の中級テキスト「改訂7版」に準拠した問題が出題されます。
「食品表示検定・中級」の勉強に使うべき教材は?
「食品表示検定・中級」の勉強に使うべき教材は、次の2つです。
- 公式サイトの試験問題例
- 認定テキスト
中級の勉強に関しては、この2つだけで十分だと思います。
※ただし、試験に出題すべき新しい論点があって、テキストの版の改訂が間に合っていないようなケースでは、ダウンロード用資料が公式サイトの試験内容のページに記載される場合があります。そのダウンロード用資料も試験範囲になります。というよりむしろ、出ますよと言っているようなものですので、最優先で取り組むべきだと考えられます。
教材①:公式サイトの試験問題例
公式サイトで過去問は公開されていませんが、「試験問題例」が掲載されています。
公式サイトの「試験問題例」より以下のPDFをダウンロードしてください。
- 中級試験問題例:過去5回分
- 初級試験問題例:過去5回分(できれば)
※現在6回分ダウンロードできるようです(2021/2/1時点)。古いものから消される可能性もあるため、解く解かないは別としても、ダウンロード自体は早い方が良いかもしれません。
これは、「過去試験問題より一部抜粋されたもの」ですので、絶対にやったほうが良いです。
5年分ダウンロードした場合、「中級20問、初級25問、あわせて45問」の問題を確保できます。
問題だけでなく簡単な解説もついていますので、問題形式に慣れる意味でも中級の20問に関しては完璧にすると良いと思います。
初級の問題に関しても、知り合いやフリマサイト、セミナー参加等で過去問を入手できる人はともかく、そうでない人にとっては貴重な問題なので、解くことをオススメします。
見てもらえば分かるかとは思いますが、中級の受験者から見てもそんなに簡単な問題ではないんじゃないでしょうか。
初級試験の合格率は約60%といったところですが、それでも覚えることはそれなりにあり、無対策で勘で受かるような試験ではないと思います。
ですので、せっかく勉強するなら中級から、または初級と中級のW受験をおすすめします。
教材②:認定テキスト
ダイヤモンド社より(一社)食品表示検定協会編著、「食品表示検定認定テキスト・中級」が発売されています。
繰り返しになりますが、「認定テキストからの基礎知識と、それを理解したうえでの応用力を問う」ことが公式ホームページに書かれていますので、認定テキストの学習は必須と言えます。テキスト無しで学習を進めるのは極めて困難だと思われます。
中級に関しては、前述の「試験問題例」を解く以外は、このテキスト1冊やっておけばOKです。
※前述のとおり公式サイトに追加のダウンロード資料が載る場合はあります。
「食品表示検定・中級」は合格率50%前後の試験で、無対策で勘で受かるような試験ではありませんが、逆に言えば中級テキストを読み込む時間さえ確保できれば誰でも合格は可能な試験です。
この中級のテキストは単に試験対策のためだけの本という訳ではなく、現状、食品表示に関する実用レベルの知識を効率よく体系的に習得するための、「ベストな選択肢」だと思います。
官公庁や地方自治体のガイドブックや市販の書籍を「全て含めた中で」です。
また、中級のテキストは、中級に合格した後、上級にチャレンジする際にもバリバリ使います。
(現状、上級用のテキストはありません。)
もっと言うと、筆者の場合は、上級に合格した後でも業務にあたるなかで中級のテキストを読み直す機会が度々ありますし、版が改訂される度に買い直しています。
古い版は捨ててしまったので正確な数は覚えていませんが、多分3~4冊は買ったんじゃないでしょうか。
注意して欲しいのは、認定テキストの「版」です。頻繁に改訂されますので(2年に1度程度)、特に中古等で入手される方は、受験予定の試験回の出題内容に記載された「版」のものを使うようにして下さい。
※次回2021年11月の中級試験(第23回)は、2021年1月19日発行の中級テキスト「改訂7版」に準拠した問題が出題されます。
※改訂7版は「対象:2021年~2022年度の中級試験向け」と公式サイトに記載されています。また、2年に1度の改訂予定とも書かれているため、改訂8版の発行は2023年頃と予想されます。
※私が目視で確認したものですので、公式見解ではありませんし、変更点が網羅されているわけでもありません。その点ご了承ください。
書籍の詳細な内容をここに書く訳にもいかないため、概要のみの簡単なまとめではありますが、改訂6版を持っている方の買い替え判断の参考になれば幸いです。
特に、法改正関連の追加点は重要だと思います。
念のために補足しておくと、検定協会が過度なお金稼ぎ目当てに版の改訂を繰り返しているわけでは無いと思います。食品表示関連の法令やガイドライン自体に、目まぐるしい改正がありますので。
問題集などについて(読み飛ばし可)
現時点(2021年2月)で、食品表示検定・中級のための問題集は発売されていません。
ただし、「初級」に関しては問題集が発売されました。
テキストを読むのが好きではなく、問題を解かないとモチベーションが上がらないという方は、食品表示の勉強の「とっかかり」として、試してみるのも良いかもしれません。
ただ、前述したとおり公式サイトの「試験問題例」より「中級20問、初級25問、併せて45問分の問題」をダウンロードできますので、それを解いてからでも良いような気はします。
ここまでは、「食品表示検定・中級」に使うべき教材についてでした。
ここからは、「食品表示検定・中級」の出題形式についてです。
「食品表示検定・中級」の出題形式
「食品表示検定・中級」はマークシート式の試験で、次のような問題が出題されます。
- ① 語句の穴埋め問題
- ② 語句や文章の選択問題
- ③ 表示をチェックする問題
- ④その他の問題
①と②は一般的なマークシート式の試験で見られるような問題形式ですが、③については食品表示検定特有の問題形式ですので、試験前に目を通しておいたほうが良いと思われます。
出題形式① 選択問題
出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 中級 試験問題例 (第20回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/
上の画像のような「文章の選択問題」や、「語句の選択問題」が出題されます。
この問題については、正解(不適切な選択肢)は②になります。
②のように、産地の違うグレープフルーツ同士を盛り合わせる行為は、「加工」には至らない「調整」に該当し、加工食品ではなく生鮮食品扱いになるためです。
それに対して、③のマグロとハマチのように異なるものを盛り合わせる行為は「加工」に該当します。
生鮮と加工の区別については、テキストにも詳しく載っていますし、当サイトでも解説しています。
関連ページ:【食品表示】生鮮食品と加工食品の区分、一般用と業務用の区分とは?
出題形式② 穴埋め問題
出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 中級 試験問題例 (第15回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/
上の画像のような「穴埋め問題」が出題されます。
この問題の答えは①の綿実で、正解するためには「8種類の農作物」を覚えておく必要があります。
特にテストまで時間が無い場合は、次の「ゴロ合わせ」が便利だと思いますので、見てみてください。
【関連ページ】「遺伝子組換え食品8作物」の覚え方(ゴロ合わせ)
出題形式③ 表示チェック
出典:食品表示検定 公式ホームページ>食品表示検定について>試験問題例>食品表示検定 中級 試験問題例 (第20回試験問題より抜粋)
https://www.shokuhyoji.jp/about/example/
上の画像のような「最も不適切な表示部分を選ぶ問題」、つまり「表示チェック」の問題が、結構な分量出題されます。
表示をチェックする問題ですので、実際の業務に近い問題と言えると思います。
この問題の正解(不適切な表示部分)は①です。
「にがり」単独での表示が認められないことを覚えていれば、正解するのは難しくはないと思います。
ちなみにですが、もし正しい表示に直そうとすると結構ややこしいです。※「上級」の場合は、不適切な箇所を指摘するだけでなく、更に正しい表示を書かせる問題が出ます。
凝固剤として塩化マグネシウムを使用していた場合、①塩化マグネシウム、②塩化マグネシウム(にがり)、③凝固剤、④凝固剤(塩化マグネシウム)、⑤凝固剤(塩化マグネシウム(にがり))は一応OKだと思われますが、⑥凝固剤(にがり)はNGとされています。
①は物質名、②は物質名+にがり、③は一括名、④は一括名+物質名、⑤は一括名+物質名+にがり、⑥は一括名+にがりです。
②については条件付きで「にがり」の付加表示を行っても差し支えないことが食品表示基準Q&Aに書いてあります。
④や⑤のような一括名+物質名という形(凝固剤に限った話ではなく)は、「混乱を招くおそれがあるから望ましくはないけど、消費者にとって分かりやすいなら差し支えないよ」みたいなことがQ&Aに書いてあります。
⑥については、Q&Aでは物質名への「にがり」の付加表示が認められているのであって、物質名を省略した一括名+にがりの形が認められる根拠はないという解釈だろうと思われます。テキストにもNGと書いてありますね。
なお、京都府条例では、豆腐に使用した凝固剤の表示に更にルールがあるらしいです(割愛)。
出題形式④ その他の問題
公式サイトでオープンになっている情報ではないので、過去問自体を掲載することはできませんが、筆者が受けた回では、原材料情報や製造日の情報が与えられ、原材料名や内容量、賞味期限などの欄を完成させる、つまりは疑似的に表示を作成するような「大問」がありました。
<問題のイメージ>
原材料名 | 【ア】、【イ】、【ウ】、【エ】、【オ】 |
【カ】 | 【キ】 |
賞味期限 | 【ク】 |
あくまでマークシート式の試験ですので、当然【ア】や【イ】に入れる選択肢は提示されていますが、どこに何を入れるかについては、原材料表示の順番などで多少の計算も必要でした。
常にこういった形式で出るとは限らないとは思いますが、「特殊な問題が出る可能性がある」という心の準備をしておくだけでも違うかなと思います。
出題傾向について
筆者が受験前に(希望を込めて)思っていたのは、「殺菌方法とか、アイスクリーム類の分類とか、そういうのは出ないんじゃないの?特定の業界の人が有利になっちゃうし。」ということでした。
ですが、そんなことはなく、「個別的表示事項」等についても普通に出題されています。
筆者が受けた試験や公表されている試験問題例(過去問の一部)を見たうえで、出題傾向について言えることは、身も蓋もないですが「中級テキストから幅広く出る」です。
どのくらい幅広く出るかというと、前述の試験問題例(過去試験問題より一部抜粋されたもの)計24問に簡単なタイトルをつけたものを表にしましたので、参考にしていただければと思います。
次 | 問題例1 | 問題例2 | 問題例3 | 問題例4 |
---|---|---|---|---|
第15回 | 加工食品に該当するか | 生鮮食品の表示 | 遺伝子組換え食品 | マヨネーズ |
第16回 | 単一原料米 | 原材料名の表示 | 栄養成分表示 | 地理的表示保護制度 |
第17回 | 牛トレーサビリティ法 | 生鮮食品の表示 | 機能性表示食品 | さば塩焼き弁当 |
第18回 | 添加物表示 | 個別的表示事項 | 原産国名の表示 | おにぎり |
第19回 | 計量法の対象 | 生鮮食品の原産地表示 | アレルギー表示 | ファットスプレッド |
第20回 | 酒類の必要表示事項 | 食品の表示 | 「のり」の原料原産地表示 | 絹ごし豆腐 |
第22回 | 米トレーサビリティ法 | 適格消費者団体 | 生鮮食品の表示方法 | 栄養成分表示 |
※第21回の試験は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっています。
地理的表示や機能性表示食品、酒類の表示なんかは業務で全く触れたことがない人も多いんじゃないでしょうか。
個人的には、(普段の業務と無関係の品目の)細かい論点に手を広げすぎるよりは、基本的な部分を完璧にしたほうが良いような気はしますが、そのあたりは性格にもよるでしょうか。
いずれにしても、最低限テキストをザッと通読するくらいはしたほうが良さそうです。
ちなみに、表の中で「赤いマーカー」をつけた、「遺伝子組換え食品」「アレルギー表示」の問題の対策には、次の語呂合わせが役立つと思います。
「最も不適切なものを選べ」という問題への対策
食品表示検定・中級には、「最も不適切なものを1つ選んでください。」という問題が出ます。
これを聞いて、「ああ、ひっかけ問題ね」と思った方。
少し違います。
次の、中級試験問題例、過去7回分28問を集計した表を見て下さい。
回次 | 最も適切なもの を選ぶ問題 | 最も不適切なもの を選ぶ問題 | その他の問題 |
---|---|---|---|
第15回 | 2問 | 2問 | |
第16回 | 1問 | 3問 | |
第17回 | 1問 | 3問 | |
第18回 | 2問 | 2問 | |
第19回 | 1問 | 3問 | |
第20回 | 1問 | 2問 | 1問 |
第22回 | 2問 | 2問 | |
計 | 10問 | 17問 | 1問 |
これを見ると、不適切なものを選ぶ問題のほうが多いことが分かります。
むしろ、「適切なものを選ぶ問題のほうが引っかけ」くらいの意識で臨むといいくらいのレベルです。
ちなみに、筆者が中級を受けた際の比率はこんなものではなく、もっと不適切だらけでした。
オススメする解き方としては、
① 選択肢ごとに○×△を付けていき、
② 「適切or不適切」のどちらが問われているかを再確認し、
③ 最後に選択肢にに矢印をつける
という方法です。
○ ①
→ × ②
△ ③
○ ④
矢印があると自分が最終的にどの選択肢を選んだのかがパッと見で分かるので、後から見直す時や自己採点の時も便利だと思います。
こんな感じです。実際に筆者が受けた時の中級試験のキャプチャです。
上級試験まで考えて勉強する場合は?
食品表示検定・中級には受験資格はありませんが、上級は中級合格者のみが受けることができる試験となっています。
中級が合格率50%前後なのに対して、上級は15%前後と、難易度がグッと上がります。
最終的に上級試験まで見据えていて、中級試験まで時間がある場合、並行して上級試験の対策を考えたいという方もいるかも知れません。
結論を言うと、その場合もやはり中級テキストの勉強が必須になります。
もちろん、テキストの他、法令やQ&A等の読み込みも必要にはなりますが、それでも中級テキストがメインになることは変わりはないと思います。
とはいえ、マークシート式の問題だけではなく、①「小論文形式の問題」や、②「表示の間違いを指摘して更に正しい表示に直す問題」、③「資料をもとに表示をゼロから作成する問題」なんかも出ます。
上級まで考えている方は、早い段階で問題例に触れてイメージだけでもしておくと良いかもしれません。
関連ページ:【合格者が語る】食品表示検定・上級の勉強方法
試験が終わったら
試験の翌営業日午後に、公式サイトの「試験の正答」ページにて正答が掲載されます。
正答のみで解説はありませんので、試験の内容を覚えているうちに自己採点をすると良いかと思います。
約1か月後、合否と点数が記載された合否結果通知が郵送されてきます。
合格していた場合は、通知に合格証が貼り付けてあります。
栄養士のように養成施設での卒業要件のような受験資格がある資格を除いて、食品関連資格で誰でも受験可能なものは、正直なところ資格ビジネスにすぎないようなものも多いのが現状です。
そんななか、食品表示検定・中級は比較的新しい検定試験ではありますが、食品業界では一定の評価を得ており、「正当に評価される・履歴書に書ける」資格だと思われます。
単に資格という意味だけではなく、筆者は業務にあたるなかで中級のテキストを読み直す機会も度々ありますし、実用的で役に立つ資格でもあります。
いずれにしても、食品業界で働く場合は、勉強したことは無駄にはなりませんので、安心して(?)勉強してもらえればと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。